「権力掌握」に動き出した金与正氏…重要会議を招集

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北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長の妹・金与正(キム・ヨジョン)党中央委員会第1副部長を巡り、注目すべき動きが同国内で出ている。

北朝鮮の内部消息筋が韓国デイリーNKに伝えたところによると、最近、党中央本部で金与正氏が主宰する緊急会議が開催されたという。

「15日午後2時から同組織指導部小会議室で、同部全党部門の幹部らを招集して緊急会議が開かれた。会議では、昨年末に開かれた党中央委員会第7期第5次総会で提示された課題を貫徹するための『忠誠の決起大会決定書』と『忠誠の手紙』を今週中に提出せよとの指示が下された」(消息筋)

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ここで言う「決定書」とは、社会の各分野でいつ、どのような形で決起集会を開くかという計画書のことで、「手紙」は担当幹部らの決意文のようなものだ。日本の感覚では生産的とは言い難いものだが、これも北朝鮮では重要なイベントなのである。提出された「決定書」と「手紙」は、金正恩氏の決済を経て命がけで完遂すべき「使命」となる。

それはさておき、この会議を金与正氏が主催したというのは注目に値する。金与正氏は昨年末の総会で、党組織指導部の第1副部長に任命された可能性が一部で指摘されている。党組織指導部は、北朝鮮の政務と人事を一手に掌握する国内最強の権力機関である。

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かつては、最近になって健在が確認された金正恩氏の叔母・金慶喜(キム・ギョンヒ)氏や異母姉の金雪松(キム・ソルソン)氏が部長を歴任したとされており、いずれは金与正氏がその座に就くと見られる。そうなれば名実ともに、兄に次ぐ「ナンバー2」の地位を占めることになる。

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部長になるにはさすがに年齢が若いが、第1副部長になれば実質的な権限を握ることができる。

金与正氏は昨年12月17日、本人名義で「女性軍人の勤務生活と健康に特別に配慮し、その状況を了解(把握)すること」との指示を各部隊政治部に通達したとされる。金与正氏が軍に直接、自分の名前で号令をかけるのはこれが初めてだ。

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北朝鮮軍の女性兵士らは、飢えや性的虐待など、過酷な環境に置かれていることが知られている。金与正氏はそれに対して配慮を示すことで、軍における足場作りを開始した可能性がある。

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軍に対してこのような指示を下すのも党組織指導部の領分であり、金与正氏が同部の第1副部長として権限を行使し始めたことの表れと見ることも出来る。

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しかしそれにしても、金与正氏の出世スピードは速い。北朝鮮の最重要事項は、朝鮮労働党政治局で決定される。金与正氏は政治局員候補だが、この分だと政治局入りする日は遠くないはずだ。叔母の金慶喜氏が政治局員になったのは64歳のときだ。

妹の超スピード出世から垣間見えるのは、金正恩氏が「自分の時代」を築くべく猛烈に動いているということだ。