北朝鮮のある父親が虐待に耐えられず選んだ道とは…

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北朝鮮の咸鏡南道(ハムギョンナムド)にある15号管理所、通称耀徳(ヨドク)政治犯収容所。最大で約5万人が収容されている、比較的、海外でも内部実態の知られている収容所の一つだ。

韓国のNGO・北韓戦略センターの姜哲煥(カン・チョラン)代表など、ここで収容された経験を持つ脱北者の多くの証言があるからだ。一時は施設の拡張が伝えられていたが、2017年から施設の一部解体が始まるなど、収容人数が減らされる動きがあった。

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この耀徳収容所に入れられた一家4人が無理心中を図る事件が起きたと、現地のデイリーNK内部情報筋が伝えた。

通常、北朝鮮の政治犯収容所では、家族といえども引き離して収容することが一般的だ。しかし、表彰されれば、家族が集って一晩を過ごすことが認められる。ちょうど親が表彰を受け、久々の家族水入らずの時間が持てた8月初めのある日の夜に事件が起きた。

翌朝の労働開始時刻になっても家族が現れなかったことから、収容所の管理員が自宅を訪ねたところ、4人が亡くなっていた。父が家族の首を絞めて殺した後、自分はナイフで首を刺して自殺した模様だ。

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この家族は、収容所に入れられて半年にしかならず、事故も病気もなかったことから、家族が集まっても問題ないだろうと判断し、収容書は家族の再会を認めた。しかし、虐待が横行する収容所内での先の見えない生活に絶望し、命を絶ったものと思われる。

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「『政治的な問題で収容されたため、外に出る見込みがなく、とても耐え難く、いっそ死んだほうがまし』と考えたのだろう」(情報筋)

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ただし情報筋は、この家族の個人情報や罪状については、把握していないと伝えた。いずれにせよ、収容所の劣悪な環境にとても耐えられなかったのだろう。

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管理所は「本来なら死に値する罪を犯したのを生かしてやったのに、その恩に報いず反逆行為をした」として、家族に対して内部的に批判を行った上で、遺体を迅速に処理したと情報筋は伝えた。

北朝鮮では自殺を「最高指導者から授かり、革命に捧げるべき命を勝手に投げ捨てた裏切り」と考え、遺族にも累が及ぶ。父親が一人で命を断つのではなく、無理心中を図ったのは「残された家族に未来がない」という判断からだろう。

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人が毎日のように死ぬ北朝鮮の収容所で、生き死に関係なく人間が尊重されることはない。4人の遺体は丁寧に葬られることもなく、焼却されたものと思われる。

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