北朝鮮では国家機関や朝鮮労働党の幹部らが権力を笠に着て、庶民からなけなしのカネを搾り取り、私腹を肥やす腐敗が横行している。金正恩党委員長はこうした不正腐敗を厳しく取り締まる姿勢を見せているが、それほどの効果を見せていない。こうした不正腐敗は医療現場にも及んでいる。
北朝鮮は、かつては無償医療を誇っていたが、1990年代に「苦難の行軍」といわれる深刻な食糧危機に見舞われ完全に崩壊した。
北朝鮮と国交がある英国外務省が2015年7月に発表した「北朝鮮の医療施設と医師のリスト」という4ページの資料によると、北朝鮮の医療施設は劣悪で、衛生水準は基準以下だと指摘。病院には麻酔薬がない場合がしばしばあるため、北朝鮮での手術はできる限り避けることや、即時帰国するように勧告している。実際、麻酔なしで手術を受けたことのある脱北者は、壮絶な体験について語っている。