北朝鮮当局が自画自賛する平壌産院で、「お金がないという理由」で治療を受けられなかったという噂は住民の間で広まった。当局は医師らのクビを切ることによって住民の不満を抑えようとしたが、医療当局に対する恨みは収まることがないようだ。
平壌在住のRFAの情報筋は、「平壌市大同江(テドンガン)区域の文殊(ムンス)に位置する平壌産院は、2000年代以前から平壌女性の初出産や三つ子、双子を身ごもった地方在住の女性達が無償で出産できる『幸せのゆりかご』と呼ばれていた」と語る。しかし、医療崩壊の現実のなかで、金正恩時代に入ってからは一部の特権階級しか利用できなくなった。一般の女性が出産するには無条件にワイロを渡さなければならない。
「平壌産院で産婦人科医として働く親しい友人の家に行ったことがある。どれほどワイロをもらったのか、家具から外車まで所有しており、生活水準は党中央の職員よりも生活水準が相当高くて驚いた」(平壌の情報筋)
医療現場に限らず北朝鮮の不正腐敗の根は深い。金正恩氏はよほど本腰を入れて不正腐敗の根絶に取り組まない限り、今回のような痛ましい事故は再び起こりうるだろう。