北朝鮮版「振り込むな詐欺」のあの国ならではの特徴

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今年4月30日、新義州(シニジュ)に済む30代の李さんのところに1本の電話がかかってきた。「市の保安署(警察署)の監察課指導員」と名乗った電話の相手は、李さんを本名で呼んだ上で、 「あなたのお母さんが危険な状況に置かれている。出来るだけ早く300万北朝鮮ウォン(約3万9000円)を用意してくれ」 と伝えた。そして、使いを送るので現金はその人に渡してくれと要求した。

「危険な状況」が具体的にどのようなものかについて言及はなかったが、母親を救いたいとの一心から、李さんはお金をかき集めていた。ちょうどそこに、母親が無事であるとの知らせが飛び込んできた。

李さんは幸いにも被害に遭わずに済んだが、実際に被害を受けた人もいる。

新義州で食堂を経営する40代女性は今月初め、「平安北道検察所の検事」を名乗る者からの電話を受け取った。その内容は「家宅捜索礼状を発行した、生き残りたいなら500万北朝鮮ウォン(約7万4000円)を払え」というものだ。