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北朝鮮の最高学府、金日成総合大学に留学中のオーストラリア人学生が、連絡が取れない状態となり、北朝鮮当局に身柄を拘束されている可能性が浮上している。

この人物は、金日成総合大学で朝鮮文学を専攻しているオーストラリア人のアレック・シグリーさん。学術交流や学生の国際交流をメインに掲げた北朝鮮専門旅行会社「統一ツアーズ」を経営する傍らで、平壌で学生生活を送り、SNSを通じて北朝鮮の情報を外部に伝えてきた。ところが、25日からネットで連絡が取れなくなったと家族が訴えているとオーストラリアABCが報じたことから「第2のオットー・ワームビア事件か」と騒ぎになっている。

(参考記事:米議会が金正恩に反撃…大学生「歯がズレて拷問死」めぐり

ただ、今月24日で発信が止まったTwitterアカウントなど彼のSNSアカウントは、主に平壌での暮らしを伝えるもので、北朝鮮の体制を批判するようなものではなく、観光客でプロパガンダ用ポスターを盗もうとしたとも言われる米国人のワームビア氏とは単純に比較できない。

昨年、彼と平壌で結婚式を挙げた妻の森永友果さんはシドニー・モーニング・ヘラルド紙の取材に、メッセージアプリWhatsAppで連絡が取れなくなっているとし、「彼は、一般的な西側のメディアとは異なり、北朝鮮についてわかりやすく理解させようと務めていた、北朝鮮の人々を理解しようと努力していた」と述べた。

オーストラリアは北朝鮮と外交関係はあるものの、平壌に大使館は設置していない。スウェーデン大使館が領事業務を代行しているが、スウェーデン外務省の報道官は米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)の取材に対して、「この問題を認識しており、オーストラリアとの協定でこの問題を扱っている」と答えた。ただ、シグリーさんの健康状態などについては言及を避けている。

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オーストラリア国立大学の北朝鮮研究者のレオニード・ペトロフ教授は28日、オーストラリアABCに「北朝鮮当局は情報を外部に発信している彼のブログやSNSのアカウントをシャットダウンした」との見方を示し、その理由として、日曜日に控えたトランプ大統領に非武装地帯訪問など緊張と安全上の理由を挙げた。

また、ペトロフ氏は「外国人学生が北朝鮮国内情報をSNSで発信することは、今後開かれうる3回目の米朝首脳会談に向けて潜在的な動揺要素となりうる」と述べた。北朝鮮当局は、たとえ自国に友好的な人物であっても、好き勝手に発信されればどんな情報が外部に漏れるかわからないと懸念しているということだ。ただ、現時点でシグリーさんが拘束、軟禁など自由が制限された状態に置かれているのか、ネットでの発信を禁じられているだけなのかは不明だ。