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かつて5万人を超えていた在北朝鮮華僑。文化大革命の時代に中朝関係が悪化し、1980年代には2万人まで減少、その後の経済難で北朝鮮から出国する人が相次ぎ、今では3000人程度しかいないと言われている。

そんな状況でも北朝鮮に残っている華僑の中には、家族の国籍問題で出国しようにもできない人がいる。米政府盟ラジオ・フリー・アジア(RFA)の中国の国境沿いの都市に住む情報筋は、ある華僑一家が脱北したことを伝えた。

中国との国境に近い海辺の町に暮らしていた一家5人。父親が北朝鮮で生まれ育った中国国籍の華僑で、母親は北朝鮮国籍だが、3人の息子、娘は北朝鮮国籍だ。これは「共和国(北朝鮮)領域に居住する共和国公民と他の国の公民または無国籍者の間で出生した者」は北朝鮮国籍を取得すると定めた国籍法第5条第2項の規定に基づくものだ。

中国国籍を持つ華僑は、比較的自由に中国と行き来ができ、それを利用して商売を営み、裕福な暮らしをしている人々が多い。ただ、この一家の暮らし向きについて情報筋は言及していないが、長年差別に苦しめられてきたという。

「父親は華僑という理由でこの家族は周りの人々から『テノム』、さらには『トンテノム』と呼ばれて生きてきた」(情報筋)

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テノムは、大国の「大」が鈍ったとも、垢を指す「テ」が鈍ったとも言われる中国人の蔑称だ。

中国が朝鮮戦争に参戦して北朝鮮を守ったことから、中朝関係は「血で固めた友誼」と呼ばれる。しかし、北朝鮮の一般国民の対中感情は非常に複雑で、中国はありがたいと同時に煙たい存在でもある。そのような感情の一番のスケープゴートにさせられるのが、華僑だ。

(参考記事:「全財産を没収」も…北朝鮮当局、華僑への締め付けを強化

そんな生活に未来を見いだせなかった一家は、脱北を決意した。合法的に出国する方法もあるが、高額の費用がかかる。また、北朝鮮国籍の家族は中国での滞在ビザが得られない限りは、経済目的での不法入国者扱いとされ、摘発されれば北朝鮮へ強制送還されてしまう。

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そこで、比較的自由に中国に出国できる父親が先に中国に出て、周到な準備をした上で、残りの家族を脱北させ、東南アジアの第三国に脱出させたという。家族は希望する韓国行きを待っている状態だ。父親は中国に残っているが、家族が韓国に定住した後で、呼び寄せてもらうという計画だ。

「第三国に到着した北朝鮮国籍の母親と3人の息子、娘は韓国定住を望んでいる。彼らが定住すれば、現在中国に残っている父親も家族と合流することを望んでいる」(情報筋)

脱北者は、韓国に入国すれば国民とみなされる。さらに、父親が配偶者ビザを得られれば家族5人での暮らしを取り戻せるが、ビザ取得には一定以上の所得が必要になるなど、ハードルは決して低くない。