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北朝鮮の国営朝鮮中央通信は先月31日、「中・小型水力発電所のおかげを被る」という記事で、各地で完成した中・小型水力発電所の恩恵を地域住民が受けていると伝えた。

慈江道(チャガンド)、両江道(リャンガンド)、咸鏡南道(ハムギョンナムド)、平安北道(ピョンアンブクト)の各地で、中・小型水力発電所が進み、地域住民に利用されているとのことだ。

中・小型水力発電所のメリットとして、記事は次のような点を挙げている。

「昨年に続いて今年も持続している干ばつと高温現象は、大規模の水力発電所の電力生産に支障をきたしている。このような状況の下で、国の各地方では自前で建設した中・小型水力発電所の稼働率を最大限高めて地域の経済活動と人民の生活に積極的に寄与している」

金正恩党委員長は、小型水力発電所の建設現場の視察も行っている。

(参考記事:金正恩氏、金野江第2号発電所を視察

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この計画の一環だろうか、両江道の金正淑(キムジョンスク)郡でも小型水力発電所の建設計画が持ち上がった。ところが、その恩恵を受けるはずの地域住民からは強い不満の声が上がっていると、現地のデイリーNK内部情報筋が伝えた。

朝鮮労働党の金正淑郡委員会と、人民委員会(郡庁)は先月中旬、地域住民を対象にした講演会を開催し、水力発電所の建設計画を発表した。これは、地域を流れて鴨緑江に注ぐ長津江(チャンジンガン)の上流をダムでせき止め、発電所を作り、地域の民家と工場に電力を安定的に供給するというものだ。

既に設計図は完成しており、今年中にはダムを作るための整地作業が始まる。流域の村や畑が水没することになるので、壇上に立った幹部は地域住民に「今から移住する準備を始めなければならない」と述べた。

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続けて幹部は、「ダム建設の成果のためにすべての住民が人民班(町内会)単位で立ち上がって事業に参加しなければならない」と強調した。そして、「ダムの恩恵を受けるのは皆さんだ、素晴らしいことではないか」と述べた。

続いて壇上に上がった人民班長(町内会長)は、「1戸たりとも例外はありえない」として、覚悟を決めて動員に応じるよう呼びかけた。

しかし、ダムの恩恵を受けるはずの住民からは強い不満の声が上がっている。

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彼らは今まで何年にも渡って、道内で進められている三池淵(サムジヨン)の開発プロジェクトに動員されたり、金品を供出させられたりして、非常に苦しい思いをしてきた。それなのに、さらに水力発電所の建設に協力しろと言われていい顔をする人はいないだろう。

(参考記事:金正恩命令をほったらかし我先に逃げ出す北朝鮮の人々

地域住民の不満をよそに進められるダム建設について、金正恩氏が熱い視線を注いでいる三池淵から近いことから、地方政府の幹部が業績づくりのために無理やり進めようとしているのではないかという声が現地で上がっている。

幹部は、中央からの物心両面での支援を期待しているようだ。実際に金正恩氏は、金野江第2号発電所の視察の際に発電設備を送ると約束している。ただ、口では約束したものの、彼が最も気にかけているプロジェクトの一つである三池淵ですら充分な支援を得ていると言い難い状況で、建設が順調に進むかどうかは不透明だ。

(参考記事:「15万人の血と涙」で建設が進む金正恩氏の「ブラック・リゾート」

週刊エコノミスト5月7日号が報じた、北朝鮮の極秘文書「国家経済発展戦略」(2016〜2020年)によると、発電設備の現存能力は設備の7割の518万キロワットに過ぎず、2014年の生産実績も518万キロワットに過ぎない。

北朝鮮は2022年までに水力だけでも600万キロワットの設備を増やし、火力は150万キロワット以上、自然エネルギーは30万キロワット以上の供給量を確保する方針を示している。

今までは巨大な水力発電所を作り続けてきたが、国際社会の制裁の影響で資材の確保が難しく、手抜き工事で使い物にならないことも多い上に、多くの人命が失われるなどデメリットが大きかった。

(参考記事:若者の命を次々と飲み込む…北朝鮮「呪われた巨大発電所」の実態