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北朝鮮の人々の生活に欠かせない石炭の価格が先月から急騰していると、咸鏡南道(ハムギョンナムド)のデイリーNK内部情報筋が伝えた。

東海岸の大都市、咸興(ハムン)や北隣の洪原(ホンウォン)の市場では、3月まで1トン24万北朝鮮ウォン(約3120円)で売られていた石炭が、先月に入って30万北朝鮮ウォン(約3900円)に高騰した。

この地域は、近隣の高原(コウォン)炭鉱で算出される石炭が出回る関係で、石炭価格が全国の相場より安い方だった。北朝鮮当局は、国民の生活をないがしろにして石炭を次々と輸出する「飢餓輸出」を行い、外貨を獲得してきたが、一昨年8月の安保理制裁決議2371号と、それを受けての中国商務省の命令で中国への輸出ができなくなってしまった。

その石炭を内需向けに回すことで、慢性的な電力難が幾分解消し、石炭価格も下がっていた。それが最近の高騰で、輸出が可能だったころの値段に戻ってしまった。

石炭価格高騰の原因として考えられるのはまず、鉱山の操業が円滑に行われていないことだ。

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北朝鮮の鉱山は、産出した鉱石を輸出して得た外貨を運転資金として使っていたが、制裁で輸出ができなくなり外貨が得られなくなったため、操業に支障をきたすようになった可能性がある。

蓄えがあった頃は、制裁で輸出できなくなった石炭を国内市場に回していたが、それもできなくなり、供給が減ったことで価格が高騰したのかもしれない。

(参考記事:北朝鮮有数の鉱山が操業中断、路頭に迷う子供たち

また北朝鮮では、越冬用の練炭を9月から10月に買いだめし、その後、4月になって花冷えに備えて少し買い増す習慣がある。今年の北朝鮮は4月に入っても寒い日が続いたため、例年と比べて需要が多かった可能性はあるが、それでも2割以上の高騰要因にはならないようだ。

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もう一つ考えられるのは、密輸だ。

国連安保理北朝鮮制裁委員会の専門家パネルの報告書は、北朝鮮が洋上で船から船へ受け渡しする「瀬取り」の手法で石炭を輸出し、石油を輸入していることを指摘している。しかし、それが北朝鮮国内の石炭価格にどれほどの影響を与えているかは不明だ。

一方、前出の情報筋は「茂山(ムサン)鉱山から鉱石の密輸が行われていて、そのルートで石炭も密輸されている。そのせいで値段が上がるという話があるが、正確な根拠はわからない」と話している。