お互いの心を伝えるために、プレゼントをやりとりするのは世界共通の愛情の表現方式だ。もちろん北朝鮮もそうだ。

いくら飢えとありとあらゆる社会的統制があっても男女間の愛情表現を阻むことはできない。若い男女が学校や企業所(職場)などで好きな人ができれば、愛情を心を込めたプレゼントで求愛する。

北朝鮮の男性が好意を持つ女性に贈るプレゼントの定番は、化粧品、服、下着、スカーフ、履き物、ヘアピンなど。恋愛関係にあれば、指輪やネックレスを贈るが、物自体が北朝鮮ではめったにみられない。

食糧難時代のプレゼントは?

脱出者と北朝鮮内部消息筋によれば、80年代までは主に服やスカーフ、下着、ヘアピンなどが一般的なプレゼントだった。愛する人が見栄えするような装飾品が贈り物の主流だったが、1990年代以後はその傾向も変わっていく。

経済難と食糧難が深刻化したこともあって、90年代のプレゼントの主流は、コメ、豚肉などの「食糧」や「現金」だった。社会・経済的な現実が男女間の愛情表現にも影響を及ぼしたわけだ。

平壌出身の脱北者は次のように語る。

「男性は地方出張の際に仕入れた、有名な「ご当地特産物」をプレゼントしたり、普段は肉や米などを女性に贈りながら、自身の心を表現する」

金持ち女性はバイクをプレゼント

2000年代に入り、ほんの少し経済的余裕が生まれてからは化粧品がプレゼントとして好まれだした。ほとんどは中国産だが、韓国産化粧品は、最高人気のプレゼントの一つだ。

一方、女性たちは「手作り」のものをプレゼントする。ただし階層間での差は大きい。

80代から90年代中盤までは、北朝鮮女性たちに最も人気があった男性は軍服務(徴兵)を終え、卒業を控えた大学生だった。彼ら持つ朝鮮労働党の党員証や卒業証書などを入れるための手作りの「労働党員証ケース」が流行した。ナイロン素材で作られており、赤い糸で「党紀」や「労働党」という字が縫い付けられている。150cmぐらいのストラップがつけられており、斜め掛けできるようになっている。

女性たちは手編みのマフラーや手袋、ハンカチに刺繍などで恋人の名前を縫いつけてプレゼントした。費やした時間と心のこもったプレゼントで愛情を伝えるの世界共通だ。

ただし、権力層や富裕層のの女性は一般住民とプレゼントの次元が違う。彼女らは外貨商店で高級時計やカバン、洋服などをプレゼントする。

咸鏡北道の消息筋は「富裕層は、家電製品(オーディオ、テレビなど)をプレゼントすることが多い。最近では、オートバイ(中国産の50cc)のプレゼントも流行している」と語った。

    関連記事