昨年11月に消息を絶った、チョ・ソンギル駐イタリア北朝鮮代理大使夫妻。その所在は未だに不明で、様々な憶測が飛び交った。

夫妻の娘はすでに北朝鮮に強制送還されたものと思われるが、「祖父母に会うために自主的に帰国した」などという説もある。

(参考記事:欧州から北朝鮮に強制送還された「ある女子高生」が辿る運命

この事件を受けて、海外に駐在する多数の北朝鮮外交官と、その家族に対して召喚(帰国)命令が下された。事件の再発を防ぐための思想教育が目的だ。

デイリーNK内部情報筋によると、先月7日に「イタリア代理大使チョ・ソンギルの海外逃亡事件と関連し、国内召喚された外務省の海外駐在イルクンとその家族に対する全面的な思想検討を行うことについて」という指示文が国家保衛省政治部に下された。

指示文の内容は、国家保衛省の政治部、組織部、宣伝扇動部、海外反探局が中央党(朝鮮労働党中央委員会)の政治指導部、宣伝扇動部の検閲(監査)担当者と協力し、現職の外交官とその家族に対する集中講習と思想検討(思想教育と厳しい総括)を行えというものだ。

また、実施の日時、場所、方式などが4項目にわたって具体的に指示されている。

第1項「海外逃亡したチョ・ソンギルの事件が外務省、国家保衛省幹部と一部家族に知られたという条件下で、すでに国内に召喚された外務省海外派遣イルクンとその家族に対する組織別検討を2019年2月11日から執行すること」

第2項「召喚されたイルクンと家族が中国、ロシアなど第3世界の国に派遣された時期から終了時期まで日付、時間、曜日、案件別に自主検討を書面化し複数回繰り返す方式で思想検討を行うこと」

第3項「国家保衛省が責任を負っている外務省イルクン、家族、子どもをそれぞれ書面検討し、場所は(平壌市内)普通江(ポトンガン)区域の黄金原(ファングムポル)駅にある国家保衛省宿泊管理所で行い、外部との連絡と徹底的に遮断し行うこと」

第4項「2019年2月11日から3ヶ月間、召喚人員と家族に対する全面的な検討を具体的に行い、日々の日程は中央党組織指導部と国家保衛省組織部が合同で計画して決めること」

召喚された外交官は、家族や外部と完全に隔離された状態で、国家保衛省などの国家機関から集中的な思想教育を受けている。場合によっては、任地に復帰できない可能性もあると思われる。

海外の情報に自由に接し、脱北の可能性が高い外交官は、そもそも思想や成分(身分)に問題のない人から選ばれる。それでも、問題が起きるときは起きる。

太永浩(テ・ヨンホ)元駐英北朝鮮公使とその家族の韓国亡命が代表的な事例だが、本国からの度重なる上納金の要求に応えるために、任地で違法行為に手を染め、摘発される事例がより一般的だ。

そのような違法行為根絶の目的で召喚が行われる場合もあるが、本人には目的が知らされないため、極度の緊張を強いられるという。

(参考記事:北朝鮮、海外駐在の外交官を一時召還…「密輸根絶」が目的か

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