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しかし、軍の内部に急変事態を引き起こす不安要因は、2000年代以後、大きく増加したと脱北者らは証言している。

特に、下級幹部や兵士は慢性的な栄養不足状態に陥っている。空腹を誤魔化すために塩を食べて、ナトリウム中毒を引き起こす現象も蔓延しているという。外部情報の流入は軍隊も例外ではない。上級幹部や当局に対する不満が累積している。

北朝鮮の様に、正規軍以外にも教導隊などの民間武力による人民の武装化の比率が高い条件では、急変事態において軍隊の役割が大きくならざるをえない。故・黄長ヨプ委員長は「若い軍の幹部に希望を託す事は出来る」と話した。

また、民間では、2005年に北朝鮮内部の反体制組織人「自由青年同志会」が会寧市で金正日を批判する檄文を発表し、日韓のメディアによってその存在が伝えられた。平壌のエリート大学生が金正日体制を非難する印刷物を配布し、逮捕された「私たちの闘争」事件もある。

北朝鮮にも相当なリスクを抱えながらも活動している反体制勢力が存在しているのは、明らかな事実だ。しかし、移動の自由が制限されている北朝鮮では、全国的なネットワークや公開的な活動は期待し難いのが現実だ。

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実際に、エジプトの民主化デモはチュニジアのジャスミン革命がインターネット、携帯電話やソーシャルネットワークを通じて拡散したのが、出発点であったと評価されている。情報の素早い拡散が今後の反体制活動の成功の有無を左右すると思われる。

「強盛大国の建設に失敗すれば個人的な不満が組織的に広がるだろう」

1990年代中後半の食糧難を契機に変化した住民意識と生活様式が、北朝鮮の耐久力をある程度弱めたという点に対しては、北朝鮮専門家も共感している。しかし、北朝鮮が耐えれることができない程ではない。

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キム教授は「北朝鮮政権の刃は未だ鋭く、全く鈍っていない」とし、北朝鮮の体制維持能力を評価した。高麗大のチョ・ヨンギ教授も「金正日の暴圧政治は、国民が如何なる抵抗を出来ないほどのレベルだ」と説明した。

だが、北朝鮮の崩壊現象は、体制保衛勢力にも現れており、彼らも劣悪な北朝鮮の現実とは無関係では無いとの意見もある。NK知識連帯のキム・ホングァン代表は「保衛部に賄賂を渡して事件を解決するなんて、昔は考える事も出来なかったが、今では韓国行きが発覚して捉えられた人でさえ賄賂で助け出せる。彼らも人の子であり、カネの力で保衛部の処罰も緩くなった」と話した。

保衛部が脱北者の家族を監視する役割を受け持っているが、韓国からの送金を目をつぶる条件で賄賂を渡すケースも頻繁にあるという。人民保安部も住民にとっては、カネを要求するだけの存在でしかないのだ。旅行証の発給、取り締まりなどで住民から搾取をしているからである。

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キム代表は「体制保衛勢力は、以前には忠誠心、体制に対する献身があったが、今はカネが一番になっている」と北朝鮮の実態を説明した。

また、現在は北朝鮮で住民の個人的な体制不満が広がる段階に進入した状態(1段階)とし、2012年の強盛大国の成果が達成されない場合、北朝鮮の未来を悩む段階(2段階)へ映ると主張した。この場合、積み重なった体制弛緩現象が爆発的に発生する可能性があると分析した。最後の段階の3段階では、自覚を通じて犠牲を甘受する組織が発生し広がると予想した。

チョ教授は「北朝鮮の崩壊7段階シナリオで、現在は弾圧と抵抗の段階の4または、5段階に達している。この次の段階に移行する為には、住民を対象にした情報流入が鍵である。民間次元の情報流入事業に対する支援と同時に、南北対話の際に、北に放送の聴取の自由化の提案を攻撃的に行う必要がある」と主張した。

◆チョ教授の北朝鮮の崩壊7段階は、1)資源枯渇 2)資源の分配優先の順位化 3)独自路線 4)弾圧 5)抵抗 6)分裂 7)政権交替である。1990年代中盤に米韓連合軍司令部の国際関係担当官だったロバート・コリンズが作成した報告書に記載された内容。