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韓国統計庁の調査によると、北朝鮮の電力生産に占める水力発電の割合は、2016年で53.6%。火力は46.4%だ。同年の韓国の割合は火力56.7%、原子力37.5%、水力0.7%となっている。ちなみに資源エネルギー庁の統計によると、日本は火力が81.6%、水力は7.6%だ。

この水力発電への依存度の高さが、北朝鮮の慢性的な電力難の原因となっている。

(参考記事:【北朝鮮国民インタビュー】「国が電気を供給してくれていた時代に未練はない」

また、施設の老朽化も問題だ。先月、新義州(シニジュ)を含む平安北道(ピョンアンブクト)西北部一帯で、老朽化した送配電設備の故障で長期間の停電が起きた。その後復旧した模様だが、現在も1日3時間程度の電力供給にとどまり、供給時間も不安定なままだ。さらに、発電所から家庭に届くまで7割の電力が失われてしまうと言われており、その原因も設備の老朽化にある。

中国の援助で改善の兆しが現れているものの、依然として不安定な北朝鮮の電力供給は、かねてから普及が進んできた発電用のソーラーパネル人気をさらに押し上げている。

平安北道のデイリーNK内部情報筋によると、新義州(シニジュ)の経済的に安定している家では、ほとんどがソーラーパネルを自宅に設置している。小さなものは縦横1メートル、大きなものだと縦1.8メートル、横1.8メートルほどで、テレビ1台と照明器具3〜4個は問題なく使える。以前と比べ質も性能も上がったことで、ますます普及が進んでいる。

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ソーラーパネルは一家に1枚所有が一般的だが、それだけで24時間、すべての需要を問題なく賄えるわけではない。そのため、昼間にソーラーパネルで発電した電気をバッテリーに貯めておき、夜に照明器具や暖房に使う。無駄をなくすために、照明はLEDなどエネルギー効率の高い製品を使うなど、生活の知恵も必要だ。

国から供給される電気は、電圧が一定ではなく変圧器や電圧安定器を使う必要があるが、最近売られているソーラーパネルは、変圧器付きまたは変圧器の必要がない中国製で、国から供給される電気にも使えるようだ。これらは数年前から市場に出回るようになったが、ここ最近になって普及が進み、変圧器がさっぱり売れなくなったとのことだ。

そんな状況の中で、「国が電気を供給してくれる」という期待感は下がる一方だ。

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「もはや国からの電気は望まず、テレビを見るなどのすべての必要をソーラーパネルでこなす。友人たちは『ソーラーパネルを使っているから、そんなもの(停電)を気にしなくなった』と口々に言っている」(情報筋)

これは金正恩党委員長にとって好ましい現象とは言えない。かつて北朝鮮国民が指導者に対する忠誠心が高かったのは、国が日々の食糧から住宅に至るまでほぼすべてのものを無料、または極めて安価に配給していたからだ。このシステムが崩壊したことで、北朝鮮国民の国家に対する忠誠心は低下してしまった。

金正恩氏は、年頭に発表する「新年の辞」で毎年必ず発電所建設に触れるが、これは国民の忠誠心をつなぎとめるためにも、電力供給の正常化を含む人民生活の向上が欠かせないためだ。

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ソーラーパネルは、決して安い買い物ではない。北朝鮮では縦60センチ、横40センチ、50ワット型の小さなものが、300元(約4940円)もの高値で売られている。

北朝鮮の深刻な電力難を、韓国はチャンスと見ているようだ。

韓国・産業研究院エネルギー産業研究部のクァク・テジョン研究委員は、昨年9月に出した「北朝鮮のエネルギー、電力の現況と南北ソーラー分野協力方案」で、「送配電施設の老朽化により、電力損失率が非常に高い北朝鮮の電力事情を考慮すると、マイクログリッド(独立した電力網による超小型電力供給システム)を目指す北朝鮮のソーラー産業の発展のポテンシャルは非常に高いと期待される」と記している。