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北朝鮮の専門家マーカス・ノーランド・ピーターャ桃総ロ経済研究所専任研究員は最近の脱北者約300人とのインタビューを通じて「転換の目撃:脱北者を通じた北朝鮮洞察」という本を発刊した。

ノーランド専任研究員は、著書の中で北朝鮮の住民が外部の情報に接する機会が増え、体制が揺らぐ現象が加速化されていると主張。特に貨幣改革の失敗が住民の体制不満を増幅させたという。

本発刊を記念してマーカス氏に話を聞いた。彼は「外国メディアに接することによって、住民達が北朝鮮当局の主張を信じようとしない事を発見した。

体制への不満が広広がり、個々人の当局への低い信頼度によって原子化された社会に留まっている」と話した。

北朝鮮の後継に関しては「金正日から誰が権力を受け継ごうが、その人はかなり難しい状況に直面するだろう」と見る。

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−今回、出版した本について簡単に説明してください。

私たちは、脱北者が、中国での経験だけでなく北朝鮮での経験から得た心理的トラウマによる苦痛を受ける事を発見した。特に飢謹の経験は北朝鮮社会に一貫した影響を及ぼしている。

経済分野で、私たちは市場が広まっていることを発見した。これは北朝鮮社会の発展経路に対する認識を変化させている。市場は金を儲ける最善の方法に見え、国家と党にとっても貴重な存在に思われている。愛国心とかではなく、市場によって、党と国家が一般人民の経済的な捕食者(economic predation)として君臨できる踏み台を提供するためだ。

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これは、この本の三つ目の大きな主題につながるが、まさに経済的行為の国家的犯罪化だと言える。北朝鮮法律の改正は経済犯に対する定義を広めてきた。一般的に見て、私たちは大部分の一般の人々がこのような制約を違反しており、これはすべての人々を犯罪者として作っていると見る。 警察は誰を逮捕し、誰を監禁するのかということに対して特別な裁量権を持ち、拘禁施設の状態はぞっとするほどだ。人々は、彼らと彼らの家族が、ひっかからないように保証されるため、進んでお金を出すが、これはわいろを取り壊す完ぺきなシステムを作り出す。

最後に、私たちは北朝鮮の住民がより多くの外国のニュース・メディアに接し、すべての問題を敵対的外勢のせいにする当局の説明を、信じようとしないことを発見した。だが(このような反体制意識が人民を団結させるのではなく)体制不満が広く広がりながら北朝鮮は一人一人間の低い信頼度によって特徴づけられ、原子化された社会(atomized society)に留まっている。

−2000年に入り、北朝鮮内部社会で最も目につく変化があるとすれば何か?特に2000年代初期と後期はどのように違う?

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私たちの調査は、1990年代中盤にどれだけ早く過去の中央計画体制が崩壊し、人々の必要を充足させるためにどのくらいはやく市場が発達することになったかを説明する。私たちが、発見した中の一つは、その時以後、北朝鮮当局は経済政策を変更したが(2002年と2005年)、多くの人々にこの変更は彼らの人生に大きな影響を及ぼすことができないと見られる。いくつかの点で、彼らは国家から分離してきた。北朝鮮で政府や党機関で仕事をした回答者は、彼らの同僚の間で腐敗が増加し、また、理念的洗脳をする時間が増加していることを報告する。

−外部世界に対する北朝鮮一般市民の観点に変化があるのか? あるいは市場を通じて流入した海外の風によって社会に及ぼした影響はどんなものがあるか?

人々はラジオ放送等を通してますますたくさん外国で供給されるニュースらに接している。私たちが発見した一つは外国ニュースに接することに抵抗がないことだ。1990年代に、北朝鮮を離れた多くの脱北者は外国ニュースに接していたが、そこに完全に埋没しはしなかったと指摘している。このよう抵抗はもう消えた。そして、一部の主張とは違い、これは都市や若年層だけで起きる現象ではない。私たちの調査で、外国ニュースを視聴する比率は中年の間で最も高かった。その反面、浸透率は1990年代には都市地域が高かったが、地方が追いつきつつある。

−2000年に入ってから一部における配給制の再開、市場閉鎖、米取り引きの禁止、市場の年齢制限など過去に戻ろうとする多くの試みがあったが、これらの取り締まりは影響がなかった。これらの取り締まりが北朝鮮社会にどのような影響を及ぼしたのか?

北朝鮮体制は市場を抑圧しようとしたが、市場機能の代わりをする能力がないから妥協と後退をせざるをえない。だが、市場を制限しようとする試みが繰り返された結果、住民たちの生活を疲弊させる結果を産んでしまった。彼らが自らと家族らの生計を維持するため、住民たちの能力に干渉するのは政治的イデオロギーより大きい一般住民と国家との間の緊張の源泉だ。

−今はわいろが北朝鮮社会の一般的な社会体制になってしまった傾向がある。どんな部類の人々にはすでに金儲け手段でもある。こういう要素もまた、政治的な体制を揺るがす一つの要素になる可能性はあるのか?

わいろの影響は両面的だ。一方では、それが一種の安全バルブの役割をする。非定期的な方式で収入を得る幹部には、給与を完全に支払わなくてもいいからだ。だが、中央機関の政治的目標と地方幹部との地域的な関心事の差を招く危険がある。脱北者の移動がその例だ。中央当局は国境地帯の移動を防ごうとするが、地方幹部がこれに目をつぶったり、少しだけ厳格な方法で彼らの処罰し金を儲けている。

−北朝鮮の人々の必要から自発的に形成された市場体制は北朝鮮体制としては巨大なジレンマであることは間違いない。金正日や金正恩によって指導される北朝鮮体制が、この市場体制を前にどのように運営されると見るのか?

北朝鮮体制は、彼ら自身だけの方式、すなわち統制下で経済の現代化を望んでいるようだ。現在の中国との国境貿易と関連して、このような現象が明確に見える。北朝鮮体制は中国と取り引きすることを望む。だが、国家が直接的に統制できない主体によって分散的な方式で成り立つのは望まない。

それよりは、中朝間の貿易が中央の統制下にある団体によって進められることを望む。政権は、明確に自由市場を疎ましく感じている。彼らの立場からすれば、そうだろう。私たちの調査によれば、市場活動に関与した人々が逮捕される確率は50%以上であり、この人たちが明確に体制に否定的な考えを持っている。そして、これらの人々が反体制的な見解を他の人らと分かちあうだろう。この点で、社会的コミュニケーションの半自治的な区域で、そして政権とは別個の富と社会的地位、そして潜在的には政治的権力を握ることができる二者択一の道を潜在的に提供する場として存在している市場を恐れている。

−市場を通じて社会的、政治的不安要素を持つ北朝鮮体制として、特に後継者金正恩の前途は暗いかもしれないが、金正恩の未来と彼の体制はどうなることを期待するのか?このような矛盾的な状況が政権の崩壊につながるのか?後継体制の未来をどのように見るのか?

私たちが、韓国で実施した調査で回答者らにある質問の中の一つに「その国のために願うものが何か」だった。彼らは圧倒的に統一を望んだ。

北朝鮮が独立的に残っているままで、他の種類の政府が入るような「第3の方法」に対する支持はそれほど多くなかった。また、大部分が現状維持を望まなかった。この事実は検証できないが、回答者はこのような意見が北朝鮮に残っている友人や家族と共有されているという。金正日から誰が権力を受け継ごうが、やはり、その人はかなり難しい状況に直面すると思われる。