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北朝鮮が「自力更正」経済の象徴と持ち上げているチュチェ(主体)鉄。燃料(コークス)が少なくても生産できる鉄鋼というものだが、北朝鮮でありがちな思想先行型のもので、技術的には失敗しているとの指摘もある。

(参考記事:自国経済の現場を破壊する北朝鮮版「紅衛兵」たち

その生産基地は、咸鏡北道(ハムギョンブクト)清津(チョンジン)の金策(キムチェク)製鉄連合企業所だが、最近になってまともに稼働できなくなっている。

市内の工場、企業所すべてが稼働していない中でも稼働を続けていた金策製鉄所と清津製鋼所の不振は、周辺の企業所や清津市全体にも深刻な影響を与えていると、現地のデイリーNK内部情報筋が伝えた。

情報筋が明らかにした、最近の金策製鉄所の稼動率は50%以下。清津製鋼所に至っては3割程度だ。

「製鉄所の最初の工程である焼結場(焼結炉、鉄鉱石と石灰石とコークスを混合して焼結鉱を作り、溶鉱炉に送る工程)の6本の煙突から煙は出たとしても、溶鉱炉を全て満たすのが難しい。党が生産を促したとしても、半分も充たせなくなっている」(情報筋)

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朝鮮労働党中央委員会や咸鏡北道委員会の幹部が現場を担当しているだけあって、なんとか稼働を続けてはいるものの、頻繁に停止するために、労働者や市民は毎朝煙突から煙が出ているかを確認して、胸をなでおろすという。

「焼結炉が回れば溶鉱炉が回り、溶鉱炉が回れば鉄鋼場と圧延工場が回る。住民は焼結場で煙突を眺めて煙が出ていないと『また溶鉱炉が止まっているな』ととため息をついている」(情報筋)

稼働率の急激な低下の原因は、数十年ぶりの寒波と電力難と言われている。茂山(ムサン)鉱山からつながっている輸送管が凍結してしまい、精鉱が適時に送れなくなってしまった。代わりに列車で輸送しているが、頻繁な停電により立ち往生することが多く、荷物もあまり積み込めない。

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稼働率低下の影響は、地元経済に深刻な影響を与えている。製鉄所は労働者に対して食糧や生活必需品、月給を支給している。近隣の市場のみならず市内全域の市場が潤うが、稼働率が低下すれば、

しなければ、幾許かの食糧や油、砂糖、石鹸が供給され、製鉄所周辺の市場も活性化し、さらには清津市内の市場にも影響を与える」と説明する。製鉄所が稼動できずに、生産職長の労働者たちの生活もより一層困窮しているということだ。

別の情報筋によると、かつては溶鉱炉担当の2000人、焼結炉の1500人、骸炭(コークス)炉の1000人に対しては、他の部署とは異なり食糧配給が優先的に行われて羨ましがられていたが、今では待遇も他と同じになっている。

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溶鉱炉で出銑する日には、記念行事を行い、労働者に酒1杯と少しの肉を振る舞う。tまり、それほど落ちぶれてしまっているということだ。

北朝鮮の朝鮮労働党機関紙・労働新聞は、新年の共同社説で人民経済4代先行部門を選定し、チュチェ鉄の生産の重要性を強調した。また、毎年新年には「金策製鉄の手紙」を掲載し、生産性工場運動の旗振り役として紹介している。金正日総書記も毎年視察を行う、北朝鮮経済を象徴するところだ。

そこの稼働率が低下しているということは、北朝鮮経済そのものが最悪の状況になっているということを示す。