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日本海に面した北朝鮮の元山(ウォンサン)。その郊外にある名勝地、鳴砂十里(ミョンサシムリ)のある半島では、元山葛麻(カルマ)海岸観光地区という巨大リゾートの建設工事が進められている。

(参考記事:北朝鮮「倒れた作業員は連れ去られ、戻ってこれない」魔の工事現場

韓国・中央日報は10日付で、北朝鮮当局が、軍事境界線の非武装地帯(DMZ)内の監視所(GP)で勤務していた兵士600人を、建設労働者として三池淵と元山葛麻地区に投入したと報じた。だが現地の情報筋によれば、労働者全体の数は約15万人に達する。

江原道(カンウォンド)のデイリーNK内部情報筋は、陸海空軍の兵士12万人のみならず、人民保安省(警察庁)、国家保衛省(秘密警察)、内閣の省庁、中央機関、教育、保健部門、交通運輸など様々な部門から動員された15万人が、約4キロに渡って広がる工事現場で働いていると伝えた。

金正恩党委員長は昨年5月に現場を視察したときに「来年の太陽節(4月15日の金日成主席の生誕記念日)までに完成させよ」との指示を下したが、同年8月には朝鮮労働党創立日の10月10日に延期している。それでも、残りの期間はわずか8ヶ月。是が非でも工期に間に合わせるために、労働者の増員が続いている。

1998年から10年間、韓国から直接訪問が可能だった北朝鮮の名勝地、金剛山(クムガンサン)。南北、米朝の対話が進む中、この金剛山観光を再開しようという声が高まりつつある。

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金剛山から元山葛麻までは130キロ、さらに30キロほど内陸に入れば北朝鮮の誇る馬息嶺(マシンリョン)スキー場もあり、地域一帯がオールシーズンのリゾートエリアとなりる。目論見どおりに韓国や中国からの観光客誘致に成功すれば、彼らの落とす外貨は莫大なものとなるだろう。

しかし、華やかなリゾートの青写真とは裏腹に、現場は「ブラック」そのものだ。

経済制裁の影響や燃料・電力不足のために建設機器を投入できず、人海戦術に頼らざるを得ない状況だが、15万人もの人員への食糧配給体制は満足に構築されていない。いや、そもそも考えてもいないのだ。

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「国が下したのは、工事を期日までに終えよという指令と、施工図面だけ。工事に必要な資材、設備、食糧、労働力などありとあらゆるものは自力更生している。人々は腐った臭いのするわかめスープ、沢庵数切れ、トウモロコシ飯を食べて、超人間的力で打ち勝っている」(情報筋)

あまりに劣悪な状況に、動員を避けようとする風潮が高まり、現場から逃亡する人も相次いでいる。実際、カネを払って「代打労力」と呼ばれる人を雇い、代わりに動員に行ってもらうことも少なくない。無給のはずの動員が、民間人同士の取引で有給の仕事になっているのだ。

当局は警備隊を組織して逃亡を阻止しようとしているが、15万人もの人員をすべて管理できるはずもない。逃亡者が多いせいか、当局は教化所(刑務所)の収監者25万人を投入したとの情報もある。