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中国商務省は2017年8月、国連安全保障理事会で採択された制裁決議を履行するために、北朝鮮との合弁企業設立や増資を禁止した。禁止令は撤回されていないが、その後の中朝関係の改善で、北朝鮮北東部の羅先(ラソン)経済特区では合弁企業が操業を再開している。

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合弁企業は資金や設備は中国側が、原材料や労働力は北朝鮮側が提供する形で営まれている。北朝鮮の人々にとって、こうした合弁企業で働くことは豊かな生活への近道だった。ところが、彼らに支払われる給料が大幅に減らされていると、米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が報じた。

羅先で合弁の水産物加工場を営んでいる中国人の企業家によると、北朝鮮人労働者の賃金は当局に一括で支払い、当局が労働者に分配する形を取っている。額は業種ごとに異なるが、概ね月400元(約6500円)から500元(約8100円)だ。かつての開城(ケソン)工業団地で支払われていた賃金の半分だが、平均的な4人家族の1ヶ月の生活費の50万北朝鮮ウォン(約6500円)なので、贅沢はできなくても不自由なく暮らせる額だ。

ところが、労働者はその額をそっくりそのまま受け取るわけではない。当局に9割もピンはねされ40元(約650円)から50元(約810円)になってしまうのだ。さらに最近になって男性9元(約150円)、女性8元(約130円)に減らされてしまった。1ヶ月まるまる働いても、国境を挟んで向かい合う中国吉林省琿春市の最低賃金(時給14元、約230円)にも満たない額しかもらえない計算だ。

北朝鮮当局は「他の企業で働く労働者とのバランスを考えてのものだ」と労働者を説得しているという。ちなみに北朝鮮の一般的な労働者の月給は4000北朝鮮ウォン(約52円)だ。「さらなる賃金搾取のための苦しい弁明」だと非難の声が上がるのは当然だろう。

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中国に派遣された労働者のピンはね事情も、さほど変わらない。

遼寧省に住む別の情報筋によると、中国で働く北朝鮮労働者の一般的な賃金は月2000元(約3万2500円)から2500元(約4万500円)だが、労働者に支給されるのは400元から500元に過ぎない。それが昨年末からは100元(約1620円)に減らされてしまった。北朝鮮の家族への仕送りはおろか、生活すら成り立たない額だ。

かつてはほぼ全額がピンはねされていたが、昨年からは本人4、当局4、支配人や保衛指導員(秘密警察)への報酬を含む共同費用2の割合で分けるようになった。これでも充分ひどいが、以前よりマシになったことは確かだ。それが、最近になってもとに戻った形だ。

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中国の労働法はピンハネと労働者からの費用徴収は禁止しているが、それを避ける手法が用いられている。北朝鮮で大学を出たばかりの女性や、在学生を実習という名目で連れてきて、レストランで働かせるというものだ。

(参考記事:北朝鮮の新商売「美人女子大生レストラン」が絶好調

労働法は学生との雇用契約を認めていないので、彼女らは労働者扱いにならない。タダ働きさせようが何をさせようが問題にならないのだ。

情報筋は「こんなことを平気でする北朝鮮なのだから、労働者の賃金を大幅に引き下げたのは特に驚くことではない」と語っている。