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北朝鮮には270もの大学が存在する。その頂点にあるのが金日成総合大学だ。2万人近い学生が在籍するこの大学では、北朝鮮国内のみならず中国、ベトナム、ロシアなどからの留学生も学んでいる。金正日総書記、金正恩党委員長と李雪主(リ・ソルチュ)夫人もかつてここで学んだ。

ほかにも、金策(キムチェク)工業大学、平壌理科大学などの名門もある。平壌外国語大学や張鉄久(チャン・チョルグ)平壌商業総合大学も人気の大学だ。卒業後は、貿易会社や海外の北朝鮮レストランに勤めるチャンスが得られるからだ。

(参考記事:北朝鮮の新商売「美人女子大生レストラン」が絶好調

平壌の名門大学に入るには個人の成績はもちろんのこと、出身成分(身分)が厳しく問われるが、それだけではまだ足りない。庶民にとっては天文学的な額のワイロも必要だ。

元教員で2008年に脱北したキム・チョルミョン(仮名)さんは語る。

「金日成総合大学に入るには、入学試験に際してワイロを準備しなければならない。入学試験に影響を与えられる地位にいる朝鮮労働党中央の教育部の幹部に5000ドルを払い、その他の関係者には500ドルずつ払わなければならない」

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これは10年前の話であり、今では1万ドル(約109万円)を超えていると思われる。そして、学生の親の経済的負担は入学後も続く。とりわけ、地方に住む親にとって子どもを平壌の大学に送ることは非常に重い負担となる。

情報筋によると、地方出身で名門大学に通う学生は、親からの仕送りで生計を立てている。その額は、中国人民元にして年間2万元(約32万3000円)に及ぶ。つまり、卒業するまでに100万円を越えるカネが必要になる。

本来、学生は授業料、交際費、寮費などすべてを国から支給されることになっているのに、なぜこんなに学費がかかるのだろうか。

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教授は、一般労働者と変わらない超薄給に苦しめられている。大学から受け取る給料は小遣い銭にすらならない。そのため、学生から様々な名目でカネを受け取り、生計を立てているのだ。例えば、試験のたびに「採点を緩くする」との名目でカネを受け取ることはほぼ慣例となっている。払わなければ成績は保証されず、他の学生から白い目で見られることとなる。

金日成総合大学の学生の間では、最新ファッションや電化製品、グルメなどが一般的な話題だ。成績よりも「どこで何を買って何を食べて、どれだけ使ったか」の方に興味を持つ。平壌出身の学生にバカにされないためには、着るものにも食べるものにも気を使わなければならないが、地方出身の学生がどうあがいてもかなうわけがないのだ。

「幹部の子女は(高級レストランの)清流館やヘダンファ館などに行って、カネを湯水のごとく使う。彼らは『賭けサッカーをして、負けた方は自費で高級レストランを貸し切りにする』などと自慢げに語っていた」

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(平壌で大学に通った経験を持ち、2017年に韓国にやってきた脱北者のイム・チョルギュさん)

脱北者で、金日成総合大学の卒業生でもある韓国・東亜日報のチュ・ソンハ記者は、著書『平壌資本主義百科全書』で、昨年8月に平壌の親戚を訪れた中国朝鮮族の話を紹介した。登場する女性は、年齢を考えると女子大生かもしれない。

「普通江(ポトンガン)区域のある外貨商店に行って本当に驚いた。20代初めに見える女性3人が店に入ってきた。(中略)太ももが見えるミニスカートにハイヒールを履いた女性もいれば、スキニージーンズを履いた女性もいた。ヘアスタイルも当然北朝鮮式ではなかった。あんな格好では平壌の町を歩けないだろう。つまり、交通手段はタクシーだということだ。1人の女性が170ドル(約1万8000円)もするシャネルのバッグを手に取ると、別の女性が歓声を上げた。彼女らは1000ドルもする豪華な品々を何のためらいもなく買った。1人の財布からは100ドル札の束が覗き見えた。最近、平壌のレストラン、商店はどこも商売上がったりだと嘆いているが、最高級の店を訪れる客は減っていないらしい」

キャンパスライフに必要なカネを稼ぐため、バイトをする地方出身の学生も少なくない。例えば、家庭教師のバイトをすれば、時給が20ドル(約2180円)から30ドル(約3290円)になる。そんなバイトをするにもカネとコネが必要だが、それすらない学生は、道端でトゥブバプ(いなり寿司)を売って学費を稼ぐとのことだが、それではヘダンファ館など夢のまた夢だ。

だが、「上には上がある」のが世の常だ。最近は脱北し、北朝鮮にいる親から仕送りを受け取りながら韓国の大学に通う若者もいるとされる。