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昨年4月、各市・道保安部に「打撃隊」を組織する内容の人民保安部(警察庁)の指示が通達されたという情報があった。道保安部傘下の打撃隊という常設的な組織には、保安部の捜査課で活躍が優れた人物や保安部政治大学を卒業したばかりの学生など、若く金正日への忠誠心が優れた人物らで組織されたと伝えられた。打撃隊が組織された目的は、乱れた取り締まり規律を即座に引き上げることであり、その規模は400人で構成すると言う事であった。

その後6月に各市・道の保安局(地方警察庁)の中に打撃隊と命名された常設組織が作られた。打撃隊員は住民に極度の恐怖心を与え、片っ端から住民を捕らえ始めた。住民も打撃隊員の取締を避ける為に、身を潜めたという。

打撃隊が持った権力には限界がないほど強大だった。国境地域では中国の携帯電話を使う人々を探し出し、韓国の安全企画部に情報を売り渡す人々を捕まえ、麻薬密輸および密売、脱北者らを徹底的に摘発した。取り締まり時間も夜間組と昼間組に2つに別れ、24時間体制で北朝鮮の住民の一挙手一投足を監視した。

このように打撃隊は金正恩体制の安着を目的とし、住民を24時間統制している。この様な現象は金正日政権の維持が既に限界点に達している事を意味している。住民に対する強力な統制なしでは、金正日・金正恩は政権を維持する事が不可能である事を示している。では、金正日・金正恩政権に残された統制カードはあるのだろうか。

金正日政権が政治犯収容所を利用し、残忍な人権蹂躙によって政権を維持してきたのは言うまでもない。だが、政治犯収容所は国際社会から多くの非難を受けると同時に、北朝鮮内部でも多くの副作用を産んでいる。

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金正日独裁政権も、政治犯収容所の残忍な人権蹂躙行為がイメージダウンに繋がっている事を知っている。最近では、政治犯収容所に収容する際にも慎重になっている。以前ならば政治犯収容所に送っていたが、今は可能な限り労働教化所に送っている。

また、政治犯収容所に収容する際には、夜中に誰にも分からない様に速かに行う。住民たちの目を意識しているからだ。人民を統制したいからと言って、全員を政治犯収容所に収容する訳にはいかないからだ。収容所から釈放すれば、忠誠をつくすフリだけで最終的には反金正日勢力になり、これを放置すれば国際社会の苛酷な非難を避けることはできない。政治犯収容所の今後は金正恩にとっても大きな悩みとなっている。

金正恩は公式化される前は、非社会主義問題の解決に力を注いでいた。その結果が貨幣交換措置であった。一昨年11月末に貨幣交換措置を実施し、各職場と人民班では会議と講演会を通じて「今回の貨幣交換措置は、青年大将金正恩同志が発案され、人民生活を画期的に高めるために用意した措置」大々的に宣伝した。

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しかし、極端な貨幣交換は北朝鮮社会をより大きな混乱におとしいれた。非社会主義者を統制するために貨幣交換を実施したが、実際には貧しい国民だけが苦しむ事になった。人民の怨念の声は不平不満を越え、政権の存亡までもおびやかしている。最終的には貨幣交換措置が青年大将の発案であるという講演資料を1つ残らず回収・破棄した。

党代表者会で金正恩の顔が人民に知れ渡ったが、反応は冷めている。金正日はまだ若い金正恩に権力を譲り渡す為には、何か大きなインパクトを住民に与える必要があると考えたと思われる。国内に蔓延している政権への不満を一発で解消しようとしたのだ。それが延坪島挑発であったと思われる。しかし、この様な挑発を行えば行う程に、金正日政権は破滅の道を歩む事になる。金正日・金正恩の断末魔である。