北朝鮮で販売されている地図に、キリスト教会の場所が記されていることがわかった。

デイリーNKが入手した、教育図書出版社の2013年版「道路里程図」には、平壌市内の船橋(ソンギョ)区域の長忠(チャンチュン)1洞と南新(ナムシン)2洞の間にある道路沿いに十字架のマークが描かれ、「長忠聖堂」と記されている。また、万景台(マンギョンデ)区域にある「鳳岫(ポンス)教会」も記されている。凡例を見ると、十字架は「教会」となっている。

北朝鮮の「道路里程図」に表記されている教会の位置。(画像:デイリーNK)
北朝鮮の「道路里程図」に表記されている教会の位置。(画像:デイリーNK)

平壌のデイリーNK内部情報筋は「宗教は麻薬だと言って口にすることすら禁止されていた1990年代初頭には、地図に教会の場所を示すなんて想像すらできなかった」と驚いている。教会がいつから表記されるようになったのか、その理由などはわかっていない。

平壌市内には鳳岫、長忠以外にも合わせて4ヶ所のキリスト教会が存在する。このうち、ロシア大使館員などが通うロシア正教の「貞栢(チョンベク)教会」を除いては、いずれも対外宣伝用で宗教施設としての役割を果たしていないと言われている。

(参考記事:「北朝鮮のキリスト教徒が『冷凍拷問』で殺されている」脱北者が証言

この道路里程図は、平壌市内の地図のみならず、両江道(リャンガンド)恵山(ヘサン)、咸鏡北道(ハムギョンブクト)清津(チョンジン)など各道の道庁所在地の詳細図も掲載している。

各地を行き来する北朝鮮のドライバーにとって欠かせない地図で、地理を勉強する学生や一般住民も見るものだ。行政区域と地形などを記した「行政区域図」よりも有用で、外国人が利用する高級ホテル内の書店や、外国語書店などで販売されている平壌の地図よりも詳しいことは言うまでもない。

道路里程図には、主要な通りから裏通りに至るまで記載されている。また、建物の名前も記載されており、郵便局、病院、ホテル、劇場、会館、体育館、研究所、レストランなどが詳しく記されている。ただ、鉄道の記載はあるが、地下鉄の路線は描かれていない。

また、金日成主席と金正日総書記の革命活動を展示した史跡館には、わかりやすいように赤い四角が付けられ、両氏の名前は大きめのフォントで示されている。百貨店、タクシー乗り場、ガソリンスタンド、映画館、ボート乗り場などの記載が見られるようになったのは、北朝鮮社会の変化を反映している。

平壌のデイリーNK内部情報筋は「各種ソビ車(個人所有の運送車両)やタクシーが増えたことで、あちこちにガソリンスタンドができた。市内の主な通りの周辺には20ヶ所以上できた」と語る。ちなみに、保存対象の建物や史跡の周辺でのガソリンスタンドの営業は認められていないとのことだ。

子の情報筋は「最近出た道路里程図は前とは違って情報が詳しく記されている」と説明。「平壌市には黎明(リョミョン)通りなどが造成され、新たに建てられた建物が多いので、(今後も)大幅に改編されるだろう」との見方を示した。

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