金正恩氏の「輸入ファッション」に北朝鮮国民が幻滅

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現在の朝鮮民主主義人民共和国の前身となる北朝鮮臨時人民委員会ができる前の1946年1月1日、朝鮮共産党北朝鮮分局の責任書記だった金日成氏(後の主席)は、「新年を迎え全国人民に告ぐ」というタイトルで演説を行った。

北朝鮮の最高指導者はこれ以降、形式は異なれど毎年1月1日に「新年の辞」を発表し続けてきた。金正恩党委員長は今年も「新年の辞」を発表したが、北朝鮮国民からの反応はさほど芳しくない。米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が報じた。

(参考記事:北朝鮮各地で「新年の辞」課題を貫徹する大衆集会

平安北道(ピョンアンブクト)の情報筋によると、労働者は勤め先に、それ以外の人は人民班長(町内会長)の家に集まり、テレビで「新年の辞」の発表を視聴した。

情報筋は「新年の辞を見る住民が今年のようにテレビに釘付けになったのは初めてかも知れない」として、その理由を次のように説明した。

「数十年間、わが国(北朝鮮)の新年の辞は、壇上にある首領(金日成氏)の半身像を写しながら読み上げるのが慣例だったが、今年のようにソファーに腰掛けて書類を手に持ち読み上げたのは、常識破りの破格の変化」(情報筋)

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ところが、発表を見守った地域住民の視線は、金正恩氏のスーツ、靴、高級ソファー、本棚に集中し、「すべて輸入品なものだから、人民の指導者というプロパガンダを鼻で笑うような雰囲気になってしまった」とのことだ。

北朝鮮では、最高指導者の権威が何より重要とされるのに、まったく皮肉な結果だ。

(参考記事:金正恩命令をほったらかし「愛の行為」にふけった北朝鮮カップルの運命

金正恩氏としては、気さくな感じを演出しようとしたようだったが、どこか不自然と感じ、むしろ逆効果だと情報筋は受け取った。

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「ペーパーを見ながら新年の辞を発表する(金正恩氏の)視線が、どこか問答式通達競演大会で暗記した内容を発表する人を彷彿とさせた。威信が保たれておらず、非常に不自然だとの評価だった」

咸鏡北道(ハムギョンブクト)の情報筋も、金正恩氏がソファーに腰掛けて新年の辞を読み上げる様子は衝撃的だったとしつつも、内容は「今年の新年の辞も昨年同様に国家経済発展5カ年計画の戦略的目標遂行に拍車をかけよう」というもので、何ら目新しいものはなかったと評価した。

「金正恩氏が政権の座についた直後には、皆が新年の辞に耳を傾け、若い指導者の新しいところを探そうとしていた。2017年の新年の辞では自らの能力不足を認め自責をする様子を見せた。いよいよ新たな変化が見えるかと期待していたのに」(情報筋)

(参考記事:「金正恩が泣いた」書いた朝日新聞記者に北朝鮮がブチ切れ

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咸鏡南道(ハムギョンナムド)の情報筋も、人民班(町内会)で集まって新年の辞を見たが、早く終わらないかと雑談しながら時間つぶししたという。内容への評価は散々なものだった。情報筋は最後にこう語った。

「毎年新年を迎え、人民生活の向上と人民の幸せを謳うが、それは強制動員と社会的支援(金品の供出)を意味することなので、むしろ不満に繋がるのだ」

(参考記事:金正日が死んだ日なんか関係ねぇ…北朝鮮の若者たちが大暴れ