「金正恩の喜び組」に韓国の女子大生が猛反発

北朝鮮の金正恩党委員長は昨年9月に行われた南北首脳会談で、訪韓の意思を表明した。金正恩氏の訪韓を最も望んでいるのは支持率低迷にあえぐ文在寅大統領だろう。金正恩氏は、12月30日に文在寅氏に当てて送った親書で、訪韓実行の意思を改めて示したが、実のところ、北朝鮮側は熱が冷めてきているようで、訪韓がいつごろになるかはなお不透明だ。

金正恩氏の訪韓を待ちわびるのは文在寅氏だけではない。韓国の一部の大学生が金正恩氏の訪韓を熱烈に歓迎する動きを見せており、これが波紋を呼んでいると韓国の大手紙・朝鮮日報の電子版が伝えている。

朝鮮日報によると12月5日、ソウルの成均館(ソンギュンガン)大学の講義室で学生3人が「金正恩国務委員長のソウル訪問を歓迎します」と書かれたプラカードを掲げ、さらにその動画をフェイスブックにアップした。学生たちは、「白頭称賛委員会」という組織に所属しているという。北朝鮮では金日成主席を始祖とする血脈を「白頭の血統」という。名前からして、金正恩独裁体制を礼賛する団体であることは明らかだ。

学生3人は「花の波実践団」と名乗り、成均館大学をはじめ、梨花(イファ)女子大、弘益(ホンイク)大、ソウル市立大などを訪れたが、一般の学生からはこうした動きに反発する声が出ているという。とりわけ名門である梨花女子大では、「金正恩国務委員長ソウル訪問梨花女子大歓迎委員会(以下、梨花女子大歓迎委)」という団体が活動しているが、ほかの学生たちからは「学校の名前を売らないで」との批判が上がっている。

梨花女子大生たちが反発するのも当然だろう。韓国内でも北朝鮮の人権侵害、とりわけ女性に対する虐待の横行は既に広く知れ渡っている。

金正恩体制下で今も多くの民衆、彼女たちにしてみれば同胞の人権が侵害されていることはある程度知っているだろう。南北融和も重要であるとはいえ、独裁者を素直に歓迎するわけにはいかないと考えるのは当然だ。

梨花女子大歓迎委は、南北首脳会談における金正恩氏の発言をまとめた長文の壁新聞を校内に掲示したという。これに対してパク・ソンウンという女子大生は「世界最悪の人権蹂躙独裁を批判するどころか、両手を広げて歓迎するあなたが恥ずかしい」という反論の壁新聞を出した。パクさんは、「梨花女子大学は女性の人権を支持する学校だ。その学校の学生たちが喜び組を選抜し、また強制堕胎を行う国の代表をなぜ擁護できるのか」と朝鮮日報に語っている。

さらに梨花女子大歓迎委は、ソーシャルメディアで「金正恩の喜び組」などと揶揄されていることから、それに不快感を示す同大学生もいるという。

昨年内の訪韓は霧散したが、文在寅氏は今後も金正恩氏に一日も早い訪韓を打診するだろう。もちろん金正恩氏は訪韓を乞う文氏の足下を見る。独裁者に「お願いごと」をするような大統領が、果たして、金正恩訪韓で支持率を盛り返せるのだろうか。

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