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韓国の済州出入国外国人庁は今月14日、内戦中のイエメンから逃れ難民申請をしていた484人のうち、ジャーナリストの2人に対して難民地位を認める決定を下した。また、412人に対して人道的滞在許可を出した。

この問題を巡っては、極右プロテスタント団体が反外国人、反難民感情を煽るフェイクニュースを流し、反対運動を盛り上げていたことが明らかになるなど、今まで難民とは縁遠かった韓国社会に議論が巻き起こった。

これに先立つ昨年12月、韓国の裁判所は、中国人男性の難民申請を却下した韓国法務省の決定を覆す判断を下した。今年6月の控訴審を経て難民地位を得た彼は、韓国での新たな暮らしを始めている。

米ウォール・ストリート・ジャーナルは18日、脱北者支援に長年携わってきたトゥ・アイロン氏について詳しく報じた。

中国江蘇省生まれのトゥ氏は、隣国のラオスに渡り建設工事に従事しながら、薬草、野生動物、チーク材の密輸に関わっていた。

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2004年、ある韓国人ビジネスマンから「脱北者を乗せれば1人あたり500ドルを払う」と持ちかけられ、自分の船に脱北者を乗せてラオスに密入国させた。それをきっかけに脱北者の支援に乗り出し、10数年で500人以上の脱北を支援した。また、2006年からは韓国トゥリハナ宣教会のチョン・ギウォン牧師と協力し、多くの脱北者をラオスからタイに密入国させた。

ラオスとタイは、中国に逃れた脱北者が韓国に向かうメインルートとなっている。

(参考記事:中国、ラオス国境付近で脱北者逮捕作戦を展開か

ところが、トゥ氏は2007年4月に中国当局に逮捕され、その時一緒にいた脱北者6人は行方知れずとなった。1ヶ月後に釈放されたものの、1年後に再度逮捕され、6ヶ月間勾留された。釈放後の2009年3月、トゥ氏はラオスを経てタイに逃れ、2010年に国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)を通じてタイに亡命を申請したが拒否された。

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トゥ氏は再びラオスで暮らし始めたが、2016年に駐ラオス中国大使館から「寛大に処理するので帰国せよ」と持ちかけられた。身の危険を感じた彼は、韓国の済州島に向かい難民申請を行った。

韓国法務省は、トゥ氏がラオスや中国で命の危険にさらされたり、政治的理由で処罰されたりする可能性が高いとはみなし難いとし、また脱北者支援は金銭が目的だったとの理由で申請を却下した。それを不服としてトゥ氏は裁判に訴え、受け入れられた形だ。

トゥ氏は、韓国の通信社ニューシスの取材に「難民申請却下取り消し訴訟はすでに6月8日に勝訴し、現在は済州出入国外国人庁の難民認定証書の発行を待っている」と明らかにした。済州日報は22日、済州出入国外国人庁がトゥ氏に難民認定証書と滞在資格を与えたと報じた。

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近年、韓国で難民申請をする人は急増しているが、認定率は低下している。法務省の統計によると、難民申請者は2009年には324人だったのが、2011年に1000人を超え、昨年には9942人に達した。しかし、難民認定率は2009年には70人(21.6%)、2010年には45人(10.6&)だったのが、2011年には42人(0.04%)、昨年は121人(0.01%)と実数は増えているが、率は下がっている。