国連総会は17日(米東部時間)の本会議で、北朝鮮における人権侵害を強く非難し、改善を求める決議案をコンセンサス方式(議場の総意)により投票なしで採択した。決議案は、日本と欧州連合(EU)が共同で提出したもので、14年連続で採択された。
決議案は、政治犯収容所の閉鎖と全ての政治犯の釈放を要求。北朝鮮の人権に関する国連調査委員会が指摘した拷問や非人道的な待遇、強姦(ごうかん)、公開処刑、非司法的で恣意的な拘禁・処刑、適法手続きおよび法治の欠如、連座制の適用、強制労働など各種の人権侵害行為を取り上げ、深刻な憂慮を表明した。
また、北朝鮮の人権侵害問題を国際刑事裁判所(ICC)に付託し、人権侵害の責任者の処罰を求める内容も5年連続で盛り込まれた。
これに対し、北朝鮮の金星(キム・ソン)国連大使は同日、「決議案で言及された人権侵害の事例は全く存在しない。(一部の脱北者による)でっちあげだ」と反発。特に日本に対しては「戦犯国家の日本が人権に言及することに驚き、憂慮している」と非難を強めた。
決議案は一方で、「現在進行中の外交努力を歓迎する」として、非核化を巡る米朝対話や南北関係の改善を歓迎した。