「幹部が遊びながら殺した女性を焼いた」事件の衝撃

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しかし、韓国に亡命した太永浩(テ・ヨンホ)元駐英北朝鮮公使の『3階書記室の暗号』を読むと、北朝鮮国民の中に、張成沢氏の死を惜しんだ人は多くなかったように思える。

金王朝のロイヤルファミリーの一員であり、党の最高幹部だった張成沢氏は、庶民からすれば「雲上の人」だ。彼がいかに魅力的な人物だったとしても、ほとんどの北朝鮮国民はそのことを知る由もなかった。ただ、庶民が彼の死に冷淡だった理由は、それだけではない。

朝鮮労働党は同月8日の中央委員会政治局拡大会議で、張成沢氏を「反党反革命的宗派行為」で糾弾し、除名することを決めた。そして翌日、同党機関紙の労働新聞はこの決定を伝える記事の中で、張成沢氏の「悪行」について次のように伝えた。

「張成沢は、権力を乱用して不正腐敗行為をこととし、多くの女性と不当な関係を持ち、高級食堂の裏部屋で飲食三昧におぼれた。
思想的に病み、極度に安逸に流れたため麻薬を使い、党の配慮によって他国に病気の治療で行っている期間には外貨を蕩尽し、賭博場にまで出入りした」

太永浩氏によると、北朝鮮の人々はこれを読んで驚愕し、張成沢氏を指弾したという。同氏の妻は、金日成主席の娘である金慶喜(キム・ギョンヒ)氏だ。国父の娘をめとりながら、何が不足で不倫を重ねたのか、というわけである。

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しかし、ことはそこで終わらなかった。より大きな衝撃が、北朝鮮国民を襲ったのだ。