昨年2月にマレーシアのクアラルンプール国際空港で起きた金正男(キム・ジョンナム)氏の殺害事件で、北朝鮮がベトナムに非公式に謝罪していたと、韓国紙・中央日報がベトナムの高位外交筋の話として報じた。
この外交筋は「自国民を金正男氏暗殺に利用したことについて、ベトナムが北朝鮮に公式謝罪を要求し、両国関係が急激に悪化した」と述説明。これに対して北朝鮮がベトナムに非公式に謝罪の意を伝えたとした。また、「(北朝鮮は)公式に謝罪すれば暗殺を認めることになるため、非公式に謝罪した」とも述べている。
金正恩党委員長の異母兄である金正男氏は昨年2月15日、クアラルンプール空港のLCCターミナルで、ベトナム国籍のドアン・ティ・フォン被告と、インドネシア国籍のシティ・アイシャ被告の2人により、猛毒の神経剤XVを使って殺害された。2人は現在、マレーシアで裁判を受けているが、有罪となれば死刑の可能性もある。
一方、殺害を指示したとされる4人の北朝鮮男性らは事件直後にマレーシアを出国し、逮捕には至らなかった。事件の処分をめぐりマレーシアと北朝鮮は激しく対立、関係が極度に悪化した。
(参考記事:金正男氏を「暗殺者に売った」のは誰か…浮かび上がる「裏切り者」の存在)自国民を事件に利用されたベトナムも一時、北朝鮮との外交関係の断絶を検討していたとされる。北朝鮮の李容浩(リ・ヨンホ)外相は先月末、ベトナムを訪問しているが、非公式謝罪とベトナム訪問は、両国関係の正常化に向けた努力の一環と思われる。