北朝鮮当局が先月から中朝国境地帯において脱北に対する大々的な取り締まり作戦を繰り広げている中、脱北を試みて逮捕されるケースが続出している。それも、保衛部(秘密警察)とブローカーに騙されてのことだ。

咸鏡北道(ハムギョンブクト)のデイリーNK内部情報筋によると先月末、50代女性と20代の息子、娘の3人が不法越境(脱北)で保衛部に逮捕された。

この一家は、脱北して韓国に住んでいる夫から仕送りを受け取り、裕福な暮らしをしていた。このように仕送りに頼って暮らしている脱北者家族は少なくない。

ある日、脱北ブローカーが女性に接近し、「夫があなたを韓国に呼び寄せようとしている、問題なく脱北させてやる」と持ちかけた。その話に乗って脱北しようとしたところ、保衛部に逮捕されたのだ。取り調べの過程で3人は、騙されていたことに気づいた。

保衛部は、脱北者逮捕の実績を上げるため、脱北事件をでっち上げたのだ。脱北ブローカーに話を持ちかけ、緻密な計画を練り、夫から脱北費用の2万元(約33万円)を騙し取った上で、3人も逮捕した。実績づくりとカネ儲けに加え、地域住民に脱北のリスクの高さを思い知らせる「見せしめ効果」の一石三鳥というわけだ。このような罠に引っかかり、逮捕された人が複数いるというのが情報筋の情報だ。

「保衛員は普段は見逃して(ワイロで)金儲けして、こういうときは捕まえて金儲けする」(情報筋)

最近、韓国にたどり着いた脱北者は「国境の統制が厳しくなり脱北を試みる人が減っているため、(儲けるために)よけいにこういうことをする」とし、保衛部の監視や懐柔などを避けるために、脱北した配偶者と別れて、別の人と再婚するケースもあると説明した。

一方、極貧生活から逃れるために脱北して命を落とす人もいる。

中国に面した穏城郡の南陽(ナミャン)に住む60代の男性は先月初め、国境警備隊にワイロを渡すことなく、いきなり国境の川を越えたが、交通事故に遭ってすぐに北朝鮮に送り返されてしまった。保衛部は男性を治療することなく娘の家に送り返した。娘の看病を受けていたが、結局1週間後に亡くなったという。

この男性は、山で薪を切り出したり薬草を採ったりして生計を立てていたが、いずれも当局により禁止されたため、10月からは市場で物乞いをして暮らしていたという。

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