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北朝鮮国営の朝鮮中央通信は先月16日、金正恩党委員長が中国との国境に面した平安北道(ピョンアンブクト)新義州(シニジュ)市の建設総計画を指導したと報じた。

計画の詳細はまだ決まっていないようだが、新義州駅前にある金日成主席と金正日総書記の銅像を基本軸として道路を通し、高層マンションと行政機関の建物を配置、国境を流れる鴨緑江沿いにも高層・超高層マンションを建設するというものだ。

これを受けて、新義州の住宅価格が高騰していると、咸鏡北道(ハムギョンブクト)のデイリーNK内部情報筋が伝えた。

上がる一方だった北朝鮮の住宅価格は、今年7月頃から下落に転じた。新義州では半分近く値を下げていたが、計画発表に前後して2ヶ月で3〜4割も高騰した。

北朝鮮の住宅は、トンジュ(金主、新興富裕層)や党や行戦機関の高級幹部が建設資金を投資し、その見返りに部屋を得る形で行われている。国内で最も儲かる分野として大量の資金が流れ込んでいたが、供給過剰により今年7月ごろから価格が急落。新義州では半分近く値を下げていた。

(参考記事:北朝鮮「不動産バブル」崩壊で大打撃か…金正恩氏も黙認の闇市場

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今回の発表は、大損した投資家をなだめるため、金正恩氏が助け舟を出したものとも言えよう。金正恩氏の話を聞いた投資家が新義州に殺到したことが、不動産価格の反転上昇に繋がったと情報筋は見ている。

新しいマンションやインテリア工事が終わった平屋を売却しようとしていた人々は、価格がさらに上がると見て、売り惜しみに転じている状況とのことだ。

韓国政府系のある研究者は、価格上昇の要因として、市場原理と共に新義州開発情報を事前にキャッチしたトンジュや権力層が雰囲気を盛り上げたことを挙げた。当局は、彼らをうまく利用して開発計画の前倒し達成をもくろんでいるというのだ。

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新義州の川向う、中国の丹東には国内外から多くの観光客が訪れる。北朝鮮を見るのが目的の人々も少なくないが、やれみすぼらしいだの、やれ貧しいだの、言われたい放題で、プライドの高い北朝鮮としては、許しがたい状況だった。そこにタワーマンションが林立するようになるのだ。

鴨緑江沿いには港湾施設、税関など貿易に欠かせない施設が立ち並んでいるが、新鴨緑江大橋周辺に移転させれば、高層マンションの敷地の確保は可能だ。橋は完成しているが、接続道路や施設が未整備で、4年もの間放置されてきた。

しかし韓国のチャンネルAは6月、接続道路の工事のための資材の搬入が始まったと報じている。また、共同通信は7月、中国が6億元を投資して年内に道路建設に着手すると報じている。今回発表された計画は、そこまで見込んでのものだろう。

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ただ、一般庶民にとって開発計画は苦難の始まりとなる可能性がある。北朝鮮で高級幹部の地位にあったことのある脱北者は次のように語っている。

「制裁下での外資の誘致は容易ではない。当局はまず、国民に対して何らかの指示を近日中に下すだろう。国民は今、三池淵(サムジヨン)と元山(ウォンサン)の建設事業で(金品を)搾り取られているが、そこに新義州開発の現場への物資供出が重なったら、世論が加速度的に悪化するだろう」

一方で、中国からはこの開発計画にもケチが付けられた形となっている。北朝鮮が新義州で建設を進めていたカジノホテルが、中国当局の抗議で工事が中断したのだ。