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北朝鮮当局は、幹部を対象に思想教育目的の講演会を繰り返し行っている。国内の引き締めを図る目的があるものと思われるが、逆に幹部の間で不安を煽る結果となっている。

米政府系ラジオ・フリー・アジア(RFA)の平安北道(ピョンアンブクト)の情報筋によると、先月末に道内の各工場、企業所で朝鮮労働党や行政機関の幹部を対象にした講演会が行われた。テーマは「社会主義は科学だ」というものだ。

情報筋が説明した講演会の内容は概ねの次のようなものだ。

党の努力で想像も予想もできなかったような出来事が起き、国際的な環境はわが国(北朝鮮)に有利になっている。これは首領様(金日成主席)の革命偉業を受け継いで完成させようとしている金正恩同志の領導と戦略、戦術の結果だ。

今後、朝鮮式社会主義が発展すればするほど、内外の敵は巧妙に社会主義革命の伝統を抹殺しようと策動するだろう。党の初級宣伝イルクン(幹部)は、軌道から逸脱することなく、党の政策を貫徹する旗手として群衆を導かなければならない。幹部は個人主義への欲をなくして、党中央を擁護、保衛しなければならない――。

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1時間もの講演に付き合わされた人々は、旧態依然としたどうでもいい話に徒労感しか感じなかったという。

「最近、超強国の米国と南朝鮮(韓国)に最高尊厳(金正恩氏)が和解を求めたということは一般住民ですら皆知っているのに、朝鮮式社会主義を守ろうというプロパガンダで現実を歪曲するなんて、幹部が懐疑的になるのは当たり前だ」(情報筋)

デイリーNKが今年10月に入手した幹部向けの学習提綱(レジュメ)のタイトルも「祖国賛歌を声高らかに歌い朝鮮式社会主義を輝かしめるための闘争にすべてを捧げることについて」というものだった。

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「金正恩氏は卓越した指導力で民族の運命と世界平和のための首脳会談を成功させた」「党と指導者に忠誠を尽くせ」「自力更生、革命精神を発揮せよ」などという内容だ。

現地の別の情報筋は、講演会が矢継ぎ早に開かれることがむしろ幹部の不安を煽っていると指摘した。

この情報筋の見方によれば、中央党(朝鮮労働党中央委員会)の宣伝扇動部は幹部の思想状況をよくわかっているからこそ、幹部に対する思想教育や不正行為への検閲(監査)を強化しているのだという。それはつまり、最高指導部が体制維持に不安を抱いていることの表れとして受け止められ、幹部に今後の身の振り方を考えさせるだけだという。つまり、社会の激変を生き抜くため、ワイロによる蓄財を煽るだけということだ。

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「わが国には、社会主義の看板は残っているかも知れないが、社会主義の集団精神に基づいて生きている幹部などひとりもいない。むしろ上の幹部ほど、商人が差し出すワイロで蓄財して完全に資本主義の生活様式に浸っているのが現実だ」

一般住民向けの政治講演会も行われているが、その内容を懐疑的に思っている幹部は、講師を部下に押し付けて逃げているとのことだ。誰にもまともに聞いてもらえない講演など、やる気が起きないのも当然だろう。咸鏡北道(ハムギョンブクト)のデイリーNK内部情報筋は次のように話した。

「南朝鮮についての講演会だからと言うので、最初は熱心に聞いていたが、批判する話ばかりなので、途中からは居眠りする人が続出した。お上が何を言おうと、南朝鮮は豊かな国で、北朝鮮はその助けを得なければならない立場にいることはわかっている。あんな宣伝を信じる人はほとんどいない」

(参考記事:「韓国は腐って病んだ社会」北朝鮮が対話の裏で宣伝