北朝鮮の子どもを悲しませる「立体律動映画」の値段

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映像が立体的に見え、座席が振動する4D映画。これが北朝鮮の地方都市で人気を集めているという。

両江道(リャンガンド)のデイリーNK内部情報筋によると、道庁所在地の恵山(ヘサン)に最近、立体律動映画館、つまり4D映画館がお目見えした。場所は中朝国境を流れる鴨緑江のそばにそびえ立つ普天堡(ポチョンボ)戦闘勝利記念塔のすぐそばだ。

金正恩党委員長は、「社会主義文明強国建設」を掲げ、各地にレジャー施設を建設している。その代表例が、外国人観光客も案内される平壌のムンスプールだが、それ以外にも様々な施設が建設されている。

(参考記事:北朝鮮ツアー、実は近くて普通に行ける北朝鮮旅行

その一環として2013年9月、平壌の綾羅島(ルンラド)遊園地に4D映画館が完成。金正恩氏も鑑賞に訪れている。対外向けプロパガンダサイト「朝鮮の今日」は、その様子を収めた動画を公開しているが、動画の画質が劣悪で、臨場感があまり伝わってこないのは皮肉だ。

それ以降、元山(ウォンサン)、新義州(シニジュ)など全国12ヶ所に4D映画館が建設された。恵山でも建設が伝えられていたが、実際にオープンしたのは最近になってからのようだ。「カネになる」とトンジュ(金主、新興富裕層)が投資話に飛びつき、建設費を出したと伝えられている。

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入場料は中国人民元で25元(約410円)。コメ6キロ分に相当し、決して安いとは言えないが、「多くの子どもたちや学生を引きつけており、トンジュは相当儲かるだろう」(情報筋)とのことだ。

ただ、情報筋は施設の奇妙な点を指摘している。

「映画館にレストランなど他の商業施設があればもっと儲かるだろう。トンジュがそれを知らないはずはないだろうに、なぜ他の施設を作らなかったのか、首を傾げざるを得ない」

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その理由は定かでないが、普天堡戦闘勝利記念塔、金日成主席、金正日総書記の銅像、金日成革命史跡館に囲まれた「聖地」に商業施設はそぐわないとの判断があったものと思われる。また、川向うの中国吉林省長白朝鮮族自治県から丸見えというロケーションも影響しているかもしれない。

ちなみにこのエリアは、韓国の脱北者団体が2016年12月に中国からドローン2機を飛ばし、北朝鮮当局を激怒させた現場でもある。

大人気の4D映画館だが、貧しい家の子どもたちにとっては高嶺の花だ。

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「子どもたちが映画を見たがっているが、あまりにも高くて農村地域の子どもたちには手が出ない。子どもたちも親たちも心を痛めている」(情報筋)

4D映画館でどのような映画が上映されるかは不明だが、北朝鮮の国営メディアが紹介した映画には「祖国を保衛し」「われわれを待つな」というプロパガンダ臭がするものもあれば、「海の世界」「1億5000万年前」というナショナル・ジオグラフィックのようなタイトルもあり、これらが上映されているものと思われる。