北朝鮮と中国の国境そばの橋から川に入り、中国に出稼ぎに行こうとした北朝鮮女性3人が国境警備隊に逮捕されたと、現地のデイリーNK内部情報筋が伝えた。

事件が起きたのは今月20日、両江道(リャンガンド)金正淑(キムジョンスク)郡の泊舟坪(パクチュピョン)村でのことだ。

中朝国境東から西に流れる鴨緑江と、長津江(チャンジンガン)が合流する地点にあるこの村だが、郡の中心との間に長津江を越える橋がかけられている。女性3人は、橋から川に入り250メートル向こうの中国に向かおうとしたところを、国境警備隊に発見、逮捕された。国境警備隊は警備強化中だった。

米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)は現地筋の話として、金正淑郡の国家保衛省(保衛部=秘密警察)と人民保安省(警察庁)は今月、合同で人身売買団に対する取り締まりを行ったが、そのあおりを受けて3人が逮捕された可能性もある。

3人は、道庁所在地の恵山(ヘサン)在住で、金正淑郡の対岸にある中国の十三道溝村の木の伐採現場で2ヶ月間の出稼ぎに向かう途中だった。ブローカーから紹介された仕事だった模様だ。

3人は、韓国に向かおうとしていたわけではなく、単純な出稼ぎ目的だったとの理由で、集結所での2ヶ月勾留の処分を受けた。許可なく居住地を離れた人や強制送還された脱北者を収監する集結所では、1日12時間の強制労働に苦しめられる。もちろん賃金など出ない。

(参考記事:北朝鮮の刑務所で「フォアグラ拷問」が行われている

3人は釈放後、また中国に向かおうとするだろう。借金をしてブローカーにそれなりのカネを払っているはずだからだ。

今回の事件を受けて困っているのは、泊舟坪村やそれより西にある村の住民だ。

国境警備隊は「外部の人間を接近を防ぐ」との名目で、泊舟坪村と町の中心地を結ぶ橋を閉鎖してしまった。村の住民は、郡の中心にある市場で商売をしたりして生計を立てているため、橋の存在は欠かせない。橋を渡れば2キロほどで市場に着くが、橋が閉鎖されたため、上流の橋を使わざるを得ず、寒空の下8キロも遠回りさせられているという。

泊舟坪村の人口は100世帯あまりで、毎日市場と行き来している人は2〜30人。「事件が起きるたびに哨所がやるのは道を塞ぐこと」だと、村人は不満の声を上げているという。

同じ金正淑郡では今年8月、近道の通行を巡り警備隊が地元の若者に殴る蹴るの暴行をふるい、瀕死の重傷を負わせる事件が起きている。

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