現在の北朝鮮政府の前身にあたる北朝鮮臨時人民委員会は、1946年7月に女性の選挙権、被選挙権の保障、強制結婚の反対、離婚の自由、養育費訴訟権の認定、一夫多妻制の否定などを謳った「朝鮮男女平等権法についての法令」を発表した。
当時としては非常に先進的な法律と言えたが、北朝鮮社会の実態とは大きな乖離がある。女性が虐げられ、性暴力が日常的に加えられる状況は70数年経っても改善していないのだ。市場経済化に象徴される社会状況の変化が進む中、性暴力の形態も変化しており、その深刻度は増していると言える。
※この記事には、性暴力の被害に関する具体的な記述が含まれています。
ヒューマン・ライツ・ウォッチ(HRW)が先月31日に発表した報告書「理由もなく夜に涙が出る 北朝鮮での性暴力の実情」。報告書で最も多くのページを割いて伝えているのは、北朝鮮の拘禁施設における女性に対する性暴力だ。
両江道(リャンガンド)で密輸に携わっていた30代女性のユン・スリョンさん。2011年末、他の女性と共に薬草を中国に密輸しようとして逮捕された。