韓国の「感覚のズレ」が危険…法王は本当に「北朝鮮に行く」と言ったのか

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韓国の文在寅大統領は21日、欧州歴訪を終えて帰国した。韓国の報道によれば、青瓦台(大統領府)はローマ法王フランシスコが北朝鮮訪問を「受諾」したことを、歴訪最大の成果として誇っているという。

「訪朝は条件次第」バチカン

主要メディアもまた、概ねそれを認めている(以下、いずれも日本語版)。

「文大統領がローマ法王の訪朝の意思を確認し韓半島(朝鮮半島)の平和プロセス推進に対する支持を得たことは成果だ」(中央日報22日付)
「法王は『(金正恩北朝鮮国務委員長)の招請状が来れば無条件で応え、行くことができる』として、快く訪朝要請を受諾した」(ハンギョレ22日付)
「最大の成果はローマ法王の訪朝意思を引き出したことだ。(中略)平和の象徴であるローマ法王が初めて北朝鮮の地を踏む意味は非常に大きい。」(朝鮮日報22日付)

右から左まで、文字通り「称賛の嵐」である。しかし果たして、これは妥当な評価と言えるだろうか。そもそも「無条件で応え、行く」などという書き方は、青瓦台の説明からさえも大きくズレている。

(参考記事:やっぱり韓国はどうかしている。法王の「訪朝承諾」で大騒ぎ

ただ、東亜日報はかなり慎重な伝え方をしている。

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バチカンのグレッグ・バーク報道官が米政府系のボイス・オブ・アメリカなどに対し、「文氏から訪朝の招待を口頭で伝えられた。(しかし)バチカン側からは(文氏に)多くの話をしなかった」「法王の訪朝の可能性を真剣に考慮するには、先に訪朝実現のための条件を検討しなければならない」と述べたことを引用。

「カトリック内外で、北朝鮮の劣悪な人権および宗教状況に対する改善の約束がなければ、法王は訪朝すべきでないという意見もあるため、双方が今後このような『条件』に対する意見交換をするとみえる」(同紙22日付)と分析したのだ。

(参考記事:手錠をはめた女性の口にボロ布を詰め…金正恩「拷問部隊」の鬼畜行為

これはどう見ても、東亜日報の伝え方が妥当だろう。法王は「(北朝鮮に)行くことができる」との可能性を伝えただけで、実現するかは条件次第ということではないのか。

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北朝鮮の非核化が停滞する中、こうした韓国政府やマスコミの「感覚のズレ」は危険だ。北朝鮮に誤った現状認識をさせたり、あるいは北朝鮮に利用されたりする可能性があるからだ。

(参考記事:日米の「韓国パッシング」は予想どおりの展開

とは言っても、最近の文在寅政権はナショナリズムに走り、誰が何を言おうと聞く耳を持たないようにも見える。先が思いやられる。

(参考記事:「わが民族に力ある」北朝鮮、韓国のナショナリズム刺激