今年4月、5月、9月と3回に渡って行われた南北首脳会談。北朝鮮国内では朝鮮戦争の終結や統一への期待が高まると同時に、禁止されている韓流ドラマや映画の視聴、韓国製品の所有・販売の解禁への期待も高まっている。

それに対する北朝鮮当局の答えは「取り締まりの強化」だ。

両江道(リャンガンド)のデイリーNK内部情報筋によると、道内の白岩(ペガム)で今年7月、韓流映画を見ていた中学生7人が逮捕された。親も呼び出されて取り調べを受け、流通経路が明らかになりつつある。しかし捜査はまだ集結していないため、逮捕から3ヶ月近く経っても7人は釈放されていない。

咸鏡北道(ハムギョンブクト)の情報筋も、今年6月に韓流をパソコンで見ていた女子大生が摘発され、その後に芋づる式に9人が逮捕されたと伝えた。

つまり、韓流の「単純消費者」を逮捕して厳しく調査し、流通ネットワークの全体を根絶やしにしようというのが北朝鮮当局の意図と思われる。そのために、被疑者に対する拷問が行われている可能性もある。

(参考記事:北朝鮮の女子大生が拷問に耐えきれず選んだ道とは…

取り締まり組織の拡充も行われている。韓流の取り締まりは「109常務」という専門の取り締まり班が行っていたが、当局はその権限を保衛員(秘密警察)や保安員(警察官)にも与えて、取り締まりを強化している。

「109常務は毎日のように地域を巡回しているが、保衛員や保安員も抜き打ちでやってくる。上からの指示と言って急に現れる組織があるが、国が資材や資金を必要としているときに、罰金目当てで市場にやってくるとの噂だ」(両江道の内部情報筋)

平安南道(ピョンアンナムド)の情報筋は、取り締まりのやり方が厳しくなったとして、そのやり方を説明した。

「保存メディアが小さいため、家宅捜索で家の隅々まで探す。外国映画が保存されたメディアを発見すれば保安署で事件として扱い、処罰する」(平安南道の情報筋)

かつて保安員が家宅捜索をする際には、家の電源を落としてから家に踏み込む形を取っていた。メディアプレイヤーからVCDやDVDが抜けない状態にして、証拠を押さえるためだ。しかし、今ではUSBメモリやSDカードをプレイヤーから抜けばいくらでも隠せる。

「押収は頻繁に行われているが、国民は情報を欲しがっているため、メディアの拡散は続くだろう」(両江道の内部情報筋)

いくら取り締まってもモグラたたき状態だからだろうか、当局は最近になって改めて韓流取り締まり命令を下している。

韓国の毎日経済新聞によると、北朝鮮の国家保衛省は先月25日、道、市、郡の保衛部に対して、韓流取り締まりの命令を下した。

地域、階層、年齢、職業を分けて一般国民、幹部の言動を探ると同時に、韓国製品を使っていないか調査して徹底的に取り締まれというものだ。韓国の文在寅大統領が平壌で行った演説などについての反応、南北朝鮮の経済を比較する言動やそれに対する賛否など、発言者、時間、場所まで報告するように指示している。

また、取り締まり対象の韓国製品としては圧力鍋、携帯電話、USBメモリなどが明記されるなど、以前の取り締まりに比べてより具体的になっている。これは、3回目の南北首脳会談が北朝鮮で巻き起こした韓流フィーバーに対応するものだという。