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北朝鮮では数年前から、幹部やトンジュ(金主、新興富裕層)を中心に、子どもたちに家庭教師をつけることが流行している。授業料は1ヶ月に150ドル(約1700円)から200ドル(約2200円)。コメ1キロが5000北朝鮮ウォン(約65円)で取引されていることを考えるとかなり高額だ。

ところが最近になって、一般庶民の間でも子どもを塾に通わせたり、家庭教師をつけたりする風潮が広まりつつある。

「多くの人々は(公立の)学校より、塾に通わせたり、家庭教師を雇って家で勉強する方がいいと思っていて、あちこちに様々な科目を教える塾ができた」(平安南道<ピョンアンナムド>のデイリーNK内部情報筋)

この情報筋によると、塾や家庭教師は元々大学入学を目指す高校生たちを対象にしていたが、今では声楽、スポーツはもちろん、コンピュータ、ダンス、美術、楽器など、様々なジャンルに広がっている。

別の情報筋によると、このような塾は当初、教師の自宅で行っていたが、儲かるにつれ別に建物を確保して運営するようになった。授業料は半日の場合1ヶ月に10ドル(約1100円)、全日なら15ドル(約1700円)だ。これなら庶民でも経済的に余裕がある人ならば手が届く。

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塾が増加するにつれ、競争も激しくなっている。

「親たちは、教師の教える能力、実力を見て子どもを預けるかどうか決める。そのため教師たちも資質や実力がなければ塾を運営できない」(情報筋)

私教育が流行る背景には、思想教育を重視する公立学校の教育だけでは市場経済化する北朝鮮で生き残れないという危機感がある。

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北朝鮮の公立学校は、子どもたちが今後を生きるのに役に立つ実用的な学問より、思想教育を重視している。また、子どもたちは「課外活動」として、山菜や薪、動物の革、さらには肥料に使う人糞など、様々な品物を供出することが求められる。これでは教育機関ではなく、単なる物資回収システムだ。

(参考記事:金正恩氏の無茶な要求に「登校拒否」で抵抗する北朝鮮の子供たち

また、朝鮮半島では昔から教育を重視してきた。より良い教育を求めて脱北し韓国に移り住む人すら登場するほどだ。

しかし、これらの塾は当局の許可を受けて運営されるものではない。だからといって、当局は積極的に取り締まる姿勢を見せていない。当局も、子どもに教育を受けさせたいという親たちの熱意にはかなわないようだ。

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「教育科学省は状況を知りつつも、さほど取り締まりをしていない。塾にワイロをせびる程度だ」(情報筋)

このような違法状態は、取り締まり権限を持つ役人にとってはワイロを要求するネタとなる。上からの強い指示がない限り、ワイロを受け取る代わりに黙認することが、お互いにとって利益になる。このような構図は、今や北朝鮮社会に深く根差している。