アメリカの第1期ブッシュ政権で韓国課長を務め、現在、アメリカのスタンフォード大学付属機関である、アジア太平洋リサーチセンター(APARC)で研究に携わっているストローブ氏が10日、デイリーNKと書面インタビューを行った。
[次はインタビューの全文]
- 今回韓米首脳会談で、ブッシュ大統領は北朝鮮が完全に核を廃棄したら停戦宣言に、金正日と共に署名する用意があるという意志を明らかにした。ブッシュ大統領が終戦宣言と平和条約の発言に直接言及した理由は何か。韓国ではこれを北朝鮮に対する体制保障の約束と解釈してもいるが。
まず、去年からアメリカは北朝鮮の核プログラムが完全に検証可能で廃棄されたら、北朝鮮との平和条約締結を支持するという立場を一貫して維持してきている。
ブッシュ大統領は盧大統領との記者会見で、新しい事実に言及したわけではない。アメリカの大統領が個人的にも公開の場でも政策について言及する時は、いつもかなりの重要性を持っている。
人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面アメリカ政府は北朝鮮の現体制を保障しないだろうし、してあげることもできない。アメリカの官僚たちは、自ら純粋な意図を持って交渉に応じており、アメリカは北朝鮮政権を転覆させる意図がないと説得することができるだろう。
実は、第1期ブッシュ政権当時、一部の高位官僚たちが、個人的に北朝鮮の崩壊を望んだが、ブッシュ政権は北朝鮮政権に対する転覆政策を立てたことはない。
- 韓米首脳会談後、記者とのブリーフィングで、盧武鉉大統領がブッシュ大統領に、’終戦宣言後の平和条約’について具体的に言及してほしいと再三要求したことをめぐって、国内外のメディアは’圧迫’という言葉を使った。こうした表現に同意するか。
人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面盧大統領がブッシュ大統領に、平和宣言について詳しく言及してくれるように要求したようだった。盧大統領はこれが、ブッシュ大統領が会談で同意したことであると思ったようだ。
ブッシュ大統領は盧大統領の意図を過って理解して憤慨したようだが、私は盧大統領がブッシュ大統領を無礼に圧迫したとは思わない。また、これが通訳官の間違いのために起こったことであるとも考えない。2人の大統領の1人、あるいは2人が首脳会談の間に混乱を経験したようだ。そしてこれが、記者会見での誤解を招いたと思う。
- アメリカのウォールストリート・ジャーナルは8日、アメリカ政府の官吏たちが、北朝鮮が年内の不能化を履行するなど、非核化に積極的な理由が、ブッシュ大統領の関係改善の意志の真正性を信頼するようになったからだと報道した。2.13合意の履行に、北朝鮮が積極的な理由は何であると考えるか。12月にある韓国の大統領選挙とも関連があると思うか。
人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面北朝鮮は確かに現在の状況で、核問題について少し協力的になっても、失うものはない。結果的に、アメリカを含めた他のすべての6ヶ国協議参加国から、譲歩と利得を得ることができるだろう。我々は北朝鮮がすべての核プログラムを申告して、不能化するか見守らなければならない。これまでは寧辺の施設に対してだけ行われてきた。
ブッシュ大統領が北朝鮮に対する態度と接近方法を少し変えたように見えるが、完全に変えたわけではない。したがって、盧大統領との記者会見で、ブッシュ大統領はもう一度、北朝鮮がすべての核プログラムを完全に、検証可能な方法で放棄するまでは、平和条約が締結されないと強調した。
北朝鮮は確かに、こうしたアメリカの変化を注意深く見守って分析しているが、彼らは自分たちがブッシュ大統領を信じているとは言わない。数日前、北朝鮮の創立日(9月9日)に、北朝鮮の高位級の官吏が発表した、アメリカに対する非常に批判的な演説を思い出してほしい。
- 専門家たちは北朝鮮が年内の不能化と、核プログラムの錐垂?ス実に履行する可能性が高いと判断している。北朝鮮が既に保有したプルトニウムと核兵器についても、誠実に申告すると思うか。
北朝鮮が短い期間内に、すべての核プログラムを完全に報告することについては疑わしい。だが、北朝鮮がそうしなければならないと強く願って、これに対して強い交渉を続ける必要があると信じる。
- ブッシュ政権がイラクでの失策を挽回するために、北朝鮮にあまりにも多くの譲歩をしているという指摘がある。対北宥和政策への転換は、任期末の外交成果にこだわったからか。
北朝鮮の核実験以後、アメリカ政府が北朝鮮に対して行ったこの間の政策が、効果がなかったということを認識したという原因もあるが、イラク問題がブッシュ大統領とライス国務長官に、北朝鮮に対する努力を強化させたということは確かだと思われる。
- 北朝鮮が完全な非核化を行う場合、2008年以前にも、米朝修交と平和体制の議論が可能だと、バーシバウ在韓米国大使が、デイリーNKとのインタビューで語った。現在、北朝鮮から肯定的な反応が出ているが、完全な非核化については専門家たちの予測が食い違っている。アメリカ政府は北朝鮮の完全な非核化に対して、どの程度の可能性を見込んでいると思うか。
ブッシュ政権は’完全な非核化’を、北朝鮮が完全に検証可能な方法で軍事的、平和的、民間用の全ての核プログラムを放棄することだと定義している。北朝鮮が軍事的な全ての核プログラムの放棄を決定するかは分からないが、そうなるように、真摯な交渉を続けなければならない。
一方で、私は北朝鮮が原子力発電を放棄しないだろうと、ある程度確信している。実際、北朝鮮はこれまでもそうだったが、今後も続けてアメリカとの最終交渉で、電力生産のための軽水炉を提供するように要求するだろう。
- 10月以前の6者外相会談の開催が、関連国間で議論されている。北朝鮮が控えた不能化措置を履行する場合、ライス長官の訪朝と韓米朝中の4ヶ国首脳会談の開催の可能性があると思うか。
ライス長官が平壌を訪問することは充分に可能だ。しかし、ブッシュ大統領と金正日の首脳会談は、北朝鮮が完全に非核化するまで実現しないのは確実だと思う。/翻訳=デイリーNK 国際チーム