金正恩党委員長との南北首脳会談のため、文在寅韓国大統領に随行して訪朝した韓国政府関係者は21日、韓国最大の財閥企業・サムスン電子の実質トップである李在鎔(イ・ジェヨン)副会長が、北朝鮮の白頭山(ペクトゥサン)観光に投資する可能性に言及した。

李氏は他の財閥グループトップらとともに、文在寅氏の特別随行員として18~20日に訪朝。最終日に南北首脳が朝鮮半島の最高峰である白頭山に登頂した際にも同行した。

ソウルの情報筋によれば、この関係者は記者団に対し、「李在鎔副会長は、少し白頭山観光に投資してみる気になっているのではないか」との考えを示した。関係者によれば、李氏ら財閥トップは北朝鮮側の歓待を喜び、頂上に青く澄んだ巨大なカルデラ湖・天池(チョンジ)をたたえる白頭山の壮大な景色にも感銘を受けていたという。

「天地のほとりにホテルを建てて、頂上のある将軍峰(チャングンボン)につながる道を拡幅して。そうしたらソウルから1泊2日の白頭山観光ができる。ソウルから(白頭山の麓の)三池淵空港まで飛行機で1時間半。空港から将軍峰まで車で1時間だ」(関係者)

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金正恩氏は現在、観光地の開発に力を入れている。三池淵の開発も重要プロジェクトのひとつになっているが、経済制裁下においては、資金的にも技術的にも苦しいものがあると予想される。実際、金正恩氏が三池淵の建設現場を視察した際に公開された写真には、深刻な事故の発生を予感させるものもある。

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それでも大規模な観光地開発を続行しているのは、観光分野が国連安全保障理事会によって制裁指定されておらず、不足する外貨収入を補う数少ない手段だからだろう。あくまで仮の話だが、サムスン財閥が白頭山観光への投資に乗り出すなら、金正恩氏にとっては願ったりかなったりだ。

南北間ではこれまでにも、韓国の現代財閥の主導で金剛山開発が実現した例がある(現在は中断)。

韓国政府としても、南北融和を進める観点から、サムスン電子の対北観光投資を歓迎するだろう。しかし、本当に李在鎔氏に「その気」があったとしても、実現は簡単ではないと思われる。

観光分野が制裁指定されていないと言っても、それは観光客の行き来に関する話だ。ホテルや道路など観光インフラの整備を大規模に行うとなれば、多額の資金と大量の資材を投入することになる。制裁決議に触れずにこれを行うのは至難の業だろう。

また、サムスン電子は世界最大級のグローバル企業であり、膨大な数の国際法規によってコンプライアンスを縛られている。本当に対北投資に動くとしても、それはやはり、北朝鮮の非核化と米朝対話のいっそうの進展を待たねばならないだろう。

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