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北朝鮮の金正恩党委員長と韓国の文在寅大統領は20日、民族の聖地と呼ばれる朝鮮半島の最高峰・白頭山(ペクトゥサン)を訪問した。

その前日の19日から21日まで、白頭山、三池淵(サムジヨン)を含む両江道(リャンガンド)一帯には特別警戒令が敷かれていた。

現地のデイリーNK内部情報筋によると、特別警戒令の発令については両首脳の白頭山訪問が発表される前の18日夜に通告され、居住地以外に行かないこと、余計なことを言ったり噂話を広めたりしないこと、道路や施設警備を24時間行うことなどが指示された。

それに伴い、恵山(ヘサン)駅や周辺では兵士が警備を行い、恵山から三池淵(サムジヨン)に向かう鉄道の運行は中止、道路は通行止めになった。当局の指示と情報統制にもかかわらず、現地住民の間では「将軍様(金正恩氏)と文在寅大統領が三池淵を訪れる」という噂が広まったという。

一方、除隊(兵役期間満了)を目前に控えた朝鮮人民軍(北朝鮮軍)の兵士は、除隊が先延ばしされた。

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別の情報筋によると当局は、事故や事件を未然に防止するために国民の長距離移動を統制し、国境地域での違法行為への取り締まりを強化していた。一連の統制強化、警備の人員を確保するために兵士の除隊を先延ばしにし、勤務をさせている。

8月に除隊する予定だった兵士たちは、除隊が2ヶ月延期された。10年に及ぶ兵役の満了を心待ちにしていたのに、さぞかし落胆していることだろう。

北朝鮮の兵役期間は、一般兵種の男性が7年、女性が5年と規定されている。1990年後半の大飢饉「苦難の行軍」を影響で、身体条件などが規定に合わない人が増え、兵力不足に陥ったため、「忠誠の服務」という名目で13年に延長されたが、後に10年に短縮されている。

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今回の除隊延期は、警備人員の確保という目的以外にも、輸送の問題によるという側面もある。

一般的に除隊した兵士は鉄道を使って帰郷するが、国を挙げての行事が続く今月は、輸送が逼迫している。大勢の除隊兵士が鉄道を利用することになればその管理も必要となるが、そんな余裕はないということだ。

「『首脳会談期間中は、お祝いの雰囲気を台無しにする事件、事故は1件たりとも許してはならない』との指示が下され、鉄道と道路には保安員(警察官)と兵士が集中取り締まりを行っている。国境の都市や平壌に向かう10号哨所(秘密警察の検問所)での検査も非常に厳しくなった」(情報筋)

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哨所の通過に必要な身分証明証と旅行証を提示しても、旅行の目的、交通手段などについて厳しく尋問される。

最近、いくらかの手間賃を払えば検問所を問題なく通過させてくれるブローカーが登場したが、しばらくは商売上がったりだろう。

(参考記事:北朝鮮の「検問所」が「料金所」に変身した裏事情

情報筋は平壌と元山(ウォンサン)を結ぶ列車の乗客の話として「取り締まりがいつもより厳しく、殺伐とした雰囲気だ」「商売で他地方に移動しようとする人も、出発を数日遅らせている」と伝えた。

中国に輸出するキノコを運んできた人々は、恵山で足止めされるなど、経済にも影響を及ぼしかねないほどの警戒態勢が取られている。