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市場でキムチを売っている女性の顔を見てみたら、北朝鮮領事館に務める外交官の夫人だった――そんなB級コメディ映画のような出来事が、実際にロシアのウラジオストクで起きている。米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)の現地の情報筋は、外交官夫人のおかずビジネスについて詳しく伝えてきた。

情報筋は、ウラジオストク市内の繁華街を歩いていたときにこんな光景に出くわしたと語った。

「最近のことだが、ウラジオストクのある通りで、平壌の訛りのある言葉を使う女性たちがキムチや様々なおかずを売っている光景を目撃した。普通の北朝鮮の人だと思っていたが、よくよく見てみれば領事館の外交官の夫人たちだった」

5〜6人の女性は、通行人に声をかけて積極的に売り込みをかけていたという。好奇心から白菜や大根のキムチ、塩辛などを買い求める人はいたものの、ほとんどの人は通り過ぎるだけだったという。同じ場所で何ヶ月も商売しているので、ロシア人や高麗人(朝鮮系ロシア人)の間で彼女らの正体が知れ渡ってしまった。

別の情報筋によると、高麗人コミュニティは件の外交官夫人たちの噂で持ちきりだという。長年ロシアの市場でおかずを売っている高麗人を彷彿とさせる彼女らの姿に、「どれほど生活費に困っていたら、エリートの妻が道端でおかずを売るほどに追いつめられたのだろうか」と同情しているという。

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最近、ウラジオストクを訪れた脱北者も「歩いていたら偶然、故郷の言葉でキムチを売っている女性たちに出くわし、嬉しく思うと同時に、外交官夫人であることを知り、同じ女性として気の毒に思い、キムチとおかずを買った」と述べた。北朝鮮で富裕層とされる外交官夫人のみすぼらしい姿に衝撃を受けた模様だ。

情報筋は、キムチとおかずビジネスに乗り出した理由についてはわからないとしているが、考えられることは平壌当局からの上納金の要求額が増えたことだ。北朝鮮当局は今月9日の建国70周年を飾る様々な行事を準備していると伝えられているが、それに必要な莫大な費用を調達するために、外交官らに「もっと上納金を増やせ」とはっぱをかけているのだろう。今までのやり口を考えると十分有り得る話だ。

上納金のノルマ達成を厳しく問われるが故に、外交官たちはその特権を利用して、任地で様々なサイドビジネスに乗り出す事例が数多く報告されている。中には違法行為に手を染める者もいる。

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ノルマが達成できなければ、帰国命令が下され、厳しい総和(総括)を受けた末、山奥の農場などで一生飼い殺しにされる可能性もある。不正行為が判明すれば、さらに悲惨なことになることもある。

(参考記事:北朝鮮へ帰るな!血の粛清に脅える北朝鮮の海外駐在員たち

また、領事館の運営資金が不足しているという事情もあるのだろう。北朝鮮当局は、領事館に「上納金を差し出せ」と言うばかりで、運営に必要な資金は「自力更生せよ」と一切出そうとしないため、外交官や家族が商売で稼ぎ出すしかないのだ。