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市場経済化が進む北朝鮮では、今まで商売にならなかったような分野の「ビジネス化」が起きている。咸鏡北道(ハムギョンブクト)のデイリーNK内部情報筋が伝えてきた北朝鮮の最新ビジネスは、婚活業だ。

北朝鮮では、1980年代から外国の影響を受けて恋愛結婚が増え、今では一般化しているが、お見合い結婚も行われている。親が息子や娘の結婚相手を探す際には、友人や隣人から紹介してもらうのが一般的だが、幹部やトンジュ(金主、新興富裕層)の間では媒婆(メパ)と呼ばれる女性から紹介してもらうことが流行している。それには理由がある。

息子を持つ幹部は、トンジュの娘と結婚させたがる。経済力を持つトンジュに自分たちの面倒を見てもらおうという魂胆だ。一方のトンジュとしても、幹部と姻戚関係となることで大きなコネができるのでまんざらでもない。つまり、政治的、経済的に相互扶助を行うための政略結婚というわけだ。

両江道(リャンガンド)の情報筋が最近出席した結婚式は、道の幹部の息子と、ワンチョ(商売を長年続けてきた市場の顔役)の娘のものだったという。もちろん、町で一二を争う大金持ちだ。

かつて、女性の間では朝鮮労働党の党員が結婚相手として最も人気があった。しかし、今ではトンジュの息子や、将来有望な職業についている男性の方が人気がある。

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反対に、結婚相手として敬遠されているのが軍人である。

(参考記事:若い女性から「結婚拒否」され弱体化する金正恩氏のポンコツ軍隊

かつて、結婚相手紹介のお礼は食事で済ませるのが一般的で、庶民の間では今でもそうだ。一方で幹部やトンジュは、媒婆に紹介料を支払う。中国人民元で1000元(約1万6500円)というのが相場だ。今のところ、他の国のような企業型の結婚紹介所はまだ登場していないとのことだ。

幹部やトンジュは結婚式も豪華だ。海外から結婚式セットをドルで購入し、客にワインを振る舞い、コメディアンを呼ぶこともある。富を示すことが社会的な地位を保つことにつながるからだ。

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ただ、親と子どもの考えがすれ違い、トラブルに発展することも少なくない模様だ。

「親に急かされて、紹介してもらった人といやいやお見合いをする人もいるが、親子喧嘩になって家出してしまうこともよくある」(情報筋)

日本や韓国でもよく聞かれる話だが、北朝鮮社会も、こういった部分では諸外国と変わらないようだ。