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世界経済フォーラムが毎年発表している「ジェンダーギャップ指数」。男女の格差を国別に測るものだが、日本(2017年)は144カ国中114位で、前年比で3ランクダウンした。 118位の韓国と並び、ほぼ最下位に近い結果となった。

一方、北朝鮮はこの指数の対象となっていないが、1946年に女性の選挙権、被選挙権の保障、強制結婚の反対、離婚の自由、養育費訴訟権の認定、一夫多妻制の否定などの内容が含まれた「朝鮮男女平等権法についての法令」を発表し、女性政策においては当時として非常に先進的と言われた。

それから72年。北朝鮮の現実は、法律が謳った理念に全くついていけていない。それどころか、女性に対する性的暴力が蔓延している。咸鏡北道(ハムギョンブクト)のデイリーNK内部情報筋は、その犠牲となり、生まれたばかりの赤ん坊を手にかけてしまったある女性兵士の話を伝えた。

市街地にある朝鮮人民軍(北朝鮮軍)の部隊に勤務するこの女性兵士は、妻のいる軍官(将校)と性的関係を持ち、妊娠してしまった。

朝鮮人民軍では、一般兵士が服務期間中に恋愛、結婚することが禁じられており、発覚すれば鑑定除隊(不名誉除隊)を強いられる。そうなれば、出世の道が閉ざされるばかりか、社会的に様々な不利益を被る。実家に帰っても「悪いことをしたのでは?」と後ろ指をさされる。もちろん、上官から性的暴行を受けたとは口が裂けても言えない。

(参考記事:北朝鮮女性を苦しめる「マダラス」と呼ばれる性上納行為

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金正恩氏は、深刻化する少子化の対策として妊娠中絶手術を禁止したが、医師や医学生がバイトとして行っている。しかし、女性兵士はその費用が工面できず、出産に至ったのだ。

(参考記事:北朝鮮の大学生は「妊娠中絶ビジネス」も…若者は思想よりカネ

部隊のそばにある民家で赤ん坊を出産した女性兵士は、出産した事実を隠蔽するために、近所の山に登って穴を掘り、赤ん坊を生き埋めにしてしまった。情報筋は赤ん坊の生死について言及していないが、おそらく死亡したものと思われる。

一連の犯行が発覚し、女性兵士は軍の捜査機関の取り調べを受けている。この民家に住む女性も犯行を幇助した容疑で罪に問われることになるもようだ。

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女性は、ろくに食事もできない状況で業務をこなさなければならず、大きくなるお腹を2本のベルトで縛り付けていた。周囲の人は気づかず、後に妊娠していたことを知り驚愕したという。

朝鮮人民軍では、「マダラス」や「書類整理」などと呼ばれる女性に対する性的暴行が横行している。

(参考記事:北朝鮮女性を苦しめる「書類整理」と呼ばれる性虐待行為

上官が、目をつけておいた部下の女性兵士に「朝鮮労働党への入党を推薦してやる」などと持ちかけ、性上納を強いるのだ。このような行為は、入党の審査を行う時期に頻発するが、この女性兵士は除隊まで残り1年と迫る中で、今後のことについて考えていたようだ。

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しかし、社会全体の人権意識が希薄で、「性的暴行」という言葉すらない北朝鮮において、女性たちは自分が受けた被害が人権侵害だと気づかずにいる。前述の通り、問題が表面化しても処罰されるのは女性の方だったりもする

(参考記事:脱北女性、北朝鮮軍隊内の性的暴力を暴露「人権侵害と気づかない」

捜査機関では、上官との何らかの接触があったものと見て捜査を進めている。女性兵士に対しては「軍機びん乱」を理由に鑑定除隊(不名誉除隊)の処分が下されるものと、情報筋は見ている。一方で、加害者である上官への処分はさほど期待できないものと思われる。

(参考記事:ひとりで女性兵士30人を暴行した北朝鮮軍の中隊長