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朝鮮人民軍(北朝鮮軍)で訓練中の死亡事故が続発していると、米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が伝えている。

北朝鮮では建設現場などでの事故が多発しているが、犠牲者の多くが兵士たちだ。

(参考記事:【再現ルポ】北朝鮮、橋崩壊で「500人死亡」現場の地獄絵図

それに加え、無謀な訓練が兵士たちを死に追いやっている。金正恩党委員長は2014年7月、海軍指揮官たちの遠泳訓練を直接指導し、その写真を公開した(下)。訓練に参加させられたのは中高年の艦隊指揮官たちで、見るからに苦しそうだ。参加者たちは往復10キロに及ぶ遠泳を行ったというが、そんなに長い距離を泳ぐのは何年ぶりだっただろうか。

(参考記事:【写真と解説】まるでシゴキ!金正恩氏、中高年軍人の水泳訓練を指導

海軍の指揮官であるからには水泳の能力は必須だろうが、正直言って、写真を見た印象は「中高年イジメ」だ。軍隊に厳しい訓練は付き物とは言え、非合理的な訓練は虐待と同じと言えるだろう。

最近の訓練においても、同じことが起きているのではないか。

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平安北道(ピョンアンブクト)の情報筋がRFAに語ったところでは、「最近、第8軍団傘下の部隊で水泳訓練に参加した兵士が死亡する事故が発生した」という。

「最近、すべての部隊で水泳訓練を行っているが、部隊にプールがないため、駐屯地近くの川や湖、海で訓練を実施している。今回の事故も湖で起きた。冷たい水にいきなり入ったため、心臓発作を起こしたようだ」

情報筋はまた、「水泳訓練を行うには、体系的なトレーニングと適切な水温を維持できるプールを確保しなければならないのに、軍は何の準備もなしに実施している。湖や流れ急な河川、波のある海で訓練を行うため、水に慣れていない兵士の死亡事故が繰り返し起きている」と指摘した。

(参考記事:「事故死した98人の遺体をセメント漬け」北朝鮮軍の中で起きていること

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それにしても、北朝鮮軍はここへ来てなぜ、水泳訓練に力を入れ出したのだろうか。事故が続発するのは、軍自体が水泳訓練に慣れていないせいだろう。

金正恩党委員長が4年前、「軍が強くなるには指揮官がまず、戦士でなければならない。思想精神状態と軍事技術が高くとも、肉体的能力が追い付かなければ指揮官の資格はない」として、海軍指揮官の水泳訓練を実施した。

それはそうだとも言えるが、貴重な将兵に無駄死にさせないよう、訓練環境に配慮するのが指導者というものだろう。軍上層部とて、そのくらいのことはわかっているはずだ。わかっていながら無茶な訓練を強行するのは、金正恩氏による直接の指示があったためと推察される。

(参考記事:金正恩氏の背後に「死亡事故を予感」させる恐怖写真

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南北対話や米朝対話を受けて、北朝鮮国内でも平和を期待する空気が広がっているという。そんな中、訓練中に命を落とす将兵の無念はいかばかりだろうか。

高英起(コウ・ヨンギ)

1966年、大阪生まれの在日コリアン2世。北朝鮮情報専門サイト「デイリーNKジャパン」編集長。北朝鮮問題を中心にフリージャーナリストとして週刊誌などで取材活動を続けながら、テレビやラジオのコメンテーターも務める。主な著作に 『脱北者が明かす北朝鮮』 『北朝鮮ポップスの世界』 (共著) 、 『金正恩 核を持つお坊ちゃまくん、その素顔』 『コチェビよ、脱北の河を渡れ ―中朝国境滞在記―』 など。

脱北者が明かす北朝鮮 (別冊宝島 2516) 北朝鮮ポップスの世界 金正恩 核を持つお坊ちゃまくん、その素顔 (宝島社新書) コチェビよ、脱北の河を渡れ―中朝国境滞在記