しかしながら、筆者は金正恩党委員長が「完全な非核化」に向けて相当に踏み込んだ行動を取ると見ている。そうすることで、トランプ政権から人権問題で干渉を受けないという「対価」を得られるからだ。恐怖政治で独裁権力を維持している金正恩氏にとっては、核よりも人権の方が、体制の根幹にかかわる問題なのだ。
(参考記事:あの話だけはしないで欲しい…金正恩氏、トランプ大統領に懇願か)一方、米紙ウォールストリート・ジャーナルは1日、衛星写真を専門家が分析した結果として、北朝鮮がミサイル製造工場の拡張を進めていると伝えた。同紙によると、シンガポールで6月12日に初の米朝首脳会談が行われた前後、北朝鮮の東海岸にある咸興(ハムン)で、ミサイル工場を拡張する動きが見られたという。咸興では、長距離弾道ミサイルの燃料を製造しているともされている。
この衛星写真の評価が妥当なものかどうか、筆者には判断する術がない。ただ、金正恩氏が弾道ミサイルを放棄するのを惜しんでいるとする見方には、同意できるものがある。