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北朝鮮の金正恩党委員長が、久々に公式の場で怒りを爆発させた。

北朝鮮国営の朝鮮中央通信は2日、金正恩党委員長が中朝国境地域にある新義州化学繊維工場と新義州紡織工場を現地指導したと伝えた。

同通信はこの中で、金正恩氏が工場担当者らを叱責した内容を細かく伝えている。金正恩氏は3年前にも、スッポン養殖工場の管理不備に怒りを爆発させたことがある。そのときは支配人が処刑されたが、金正恩氏の怒りの表情は動画でも確認された。

(参考記事:【動画】金正恩氏、スッポン工場で「処刑前」の現地指導

それによると、金正恩氏は新義州化学繊維工場で「手入れもしていない厩舎のような古い建物に貴重な設備を置いて試験生産をしようとしている」と指摘。「設備の近代化に先立って、生産の建物と生産環境から一新する考えをせず、余裕面積に設備や生産工程を放り込むようにしている」と怒りを露わにした。

金正恩氏はまた、「新たに設けた生産工程の組み立てが最終段階に至り、もうすぐ試運転をしようとする現時点でも、建物の保守を適当にやっており、しっかりした改修近代化の方案と技術課題も明らかにされておらず、無作為にしている」と追及した。

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工場の従業員に対しても「支配人、党委員長、技師長らが互いに責任を押しつけあい、誰ひとり正確に回答できていない」とし「数多くの単位(工場)を見てきたが、このようなことは初めて見た」と厳しく叱責した。

金正恩氏は新義州紡織工場でも「工場で、科学技術に基づいて生産を正常化する考えをせず、材料と資金、労力をやたらと注ぎ込むだけで科学技術事業に相応の関心を向けていない。設備と機器のフル稼働も達成されておらず、工場の近代化レベルも高くない」と不満を爆発させた。

北朝鮮で工場や機関の責任者が金正恩氏からこれほどの叱責を受けた場合、十中八九、処刑されてきた。北朝鮮に対しては核問題のほか、人権問題でも厳しい視線が注がれている。そんな中、米韓などとの関係改善に乗り出した金正恩氏がどのような行動に出るか注目される。

高英起(コウ・ヨンギ)

1966年、大阪生まれの在日コリアン2世。北朝鮮情報専門サイト「デイリーNKジャパン」編集長。北朝鮮問題を中心にフリージャーナリストとして週刊誌などで取材活動を続けながら、テレビやラジオのコメンテーターも務める。主な著作に 『脱北者が明かす北朝鮮』 『北朝鮮ポップスの世界』 (共著) 、 『金正恩 核を持つお坊ちゃまくん、その素顔』 『コチェビよ、脱北の河を渡れ ―中朝国境滞在記―』 など。

脱北者が明かす北朝鮮 (別冊宝島 2516) 北朝鮮ポップスの世界 金正恩 核を持つお坊ちゃまくん、その素顔 (宝島社新書) コチェビよ、脱北の河を渡れ―中朝国境滞在記