史上初の米朝首脳会談(12日・シンガポール)を前に、北朝鮮の国境地域には特別警備令が下された。

デイリーNK内部情報筋によると、中朝国境に面した両江道(リャンガンド)では、「家内(国内)が安全であってこそ、父親(金正恩氏)は安心して家を留守にできる」として、12日の米朝首脳会談当日までの特別警戒指示が下された。

指示に従い、国境警備隊、保安署(警察署)、保衛部(秘密警察)が警戒勤務に入った。また、人民班(町内会)では、昼夜を分かたず巡回を行っている。

咸鏡北道(ハムギョンブクト)の内部情報筋は、「米国との会談のための元帥様(金正恩氏)の外国訪問日程が完了するまで、すべての生活を節度責任をもって行うことについて」との指示が各機関、工場、企業所、人民班に下され、内容を伝えるための会議が行われたと伝えた。指示には、無断欠勤に対して普段より重い罰を与えるとの内容が含まれていたとのことだ。

これにより、国境地域での密輸も影響を受けているという。

「国境地域では、貿易と密輸で生計をたてている住民がほとんどだが、最近は密輸を見かけなくなった。このような情勢の中で、下手なことをして捕ったら大変なことになるから慎重になっている」(前述の情報筋)

国境警備隊の兵士たちは「些細なことで一生を台無しにしてはならない」と上官から脅しをかけられ、普段仲良くしている密輸業者に「密輸の『み』の字も口に出すな」と言っている。

情報筋は、密輸業者のほとんどが「(情勢が)緊張しているときには注意すべきだ、下手に稼ごうと欲張ると逆に大損する」と慎重になっているとして、「前回の板門店会談(南北首脳会談)のときも、国内の司法機関は、事件、事故を未然に防ぐとして2〜3日間警戒勤務を行ったが、今回も同じだろう」と説明した。

(参考記事:北朝鮮、南北首脳会談の裏で「特別警戒」を宣言

一方、米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)の平安北道(ピョンアンブクト)の情報筋は、警備期間が今月8日から10日間続くとし、中国当局も国境警備を強化していると伝えた。

さらに、全国的にも移動が厳しく統制され、首都・平壌への立ち入りも制限されている。 平壌のデイリーNK内部情報筋は「平壌への立ち入りに際しては、たとえ高官といえども、少しでも怪しい動きを見せたらすぐに報告せよ」との指示が下されたと伝えた。 また「平壌は表向き平穏を保っているが、実際は戦闘態勢と変わらない」と、厳戒態勢が敷かれた様子を伝えた。