昨年の貨幣改革から初めての越冬準備を行っている北朝鮮住民たちは深いため息を吐き出している。名目上で貨幣単位は100倍に減ったが、市場不安によって物価の上昇がこの1年間持続的に起こり、貨幣改革以前とほぼ変わらなくなった。
咸鏡北道の内部消息筋は今月9日「金銭的に余裕がある人々は10月末に暖房の準備とキムチの漬け込みを終えたが、貧困層は今もキムチの漬け込みさえ出来ずにいると」と伝えてきた。
同消息筋によれば、咸鏡北道会寧市の市場 (今月8日)では白菜は最高値が100ウォン(キロ)、大根が60ウォン(キロ)で販売されている。ニンニクが3,800ウォン(キロ)、唐辛子粉が4000ウォン(キロ)。貨幣改革直前の(2009.10.25)会寧市の市場では白菜200ウォン、大根150ウォン、唐辛子粉が7,000ウォン、ニンニクが3,000ウォンだった。貨幣改革の効果が無くなる程に物価が上昇した。
冬はおかずが手に入りにくい時期の為、北朝鮮住民にとってはキムチは半年分の食糧といっても過言ではない。4人家族のキムチの漬け込む基準は白菜500キロ、大根300キロほど。これを基準にキムチの漬け込み費用は白菜が5万ウォン、大根1万8千ウォン、これにニンニク、唐辛子粉、塩、ネギなども必要で全て合計が10万ウォンに達する。
暖房費用もかなりの負担になっている。石炭は11月で翌年3月まで1世帯当り少なくとも3トンが必要。現在の会寧市の石炭価格は2万ウォン(t)前後。薪だけで暖房を賄う場合には、貨物車(積載量2.5t)2台分が必要となる。この価格は5〜6万ウォン程。
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現在の会寧市の物価水準から試算した住民の越冬費用は最低でも15万ウォンは必要。貨幣改革後の北朝鮮の一般労働者の月給が1,500ウォン〜3,500ウォンである為、手が出せない状態になっている。
消息筋は「キムチの漬け込みを行う最の唐辛子の粉量だけを見れば、その家庭の懐具合がすぐわかる。裕福な家庭は真っ赤で美味しそうだが、貧しい家庭は白いキムチで唐辛子粉がふりかけられた様だ」と話した。