先月8日、北朝鮮の金正恩党委員長は、中国の大連で習近平国家主席と2回目の中朝首脳会談を行った。その後の先月29日に北朝鮮は、内閣、朝鮮労働党の各道の委員会、人民委員会(道庁)の委員長ら200人を北京に代表団として派遣し、現在に至るまで経済関連の視察を行わせている。しかしその一方で、国民が「改革開放」に期待することには警戒を募らせている。(担当=カン・ナレ記者)

「われわれ式経済」説明なし

北朝鮮は、上記の代表団と同時に各市、郡の党委員長や人民委員長も中国の国境都市に派遣、経済発展の現状を学ばせている。

これを受けて北朝鮮の幹部や一般住民の間では、「金正恩氏は改革開放を受け入れるのではないか」という期待と関心が急速に高まっているが、人民保安省(警察庁)、国家保衛省(秘密警察)はその雰囲気に冷水を浴びせかけるかのように、「『改革開放』という表現を使うな」との指示を出した。

この件を伝えてきたのは、中国に派遣された北朝鮮の幹部だ。

「国家保衛省は今月1日、海外に派遣された幹部と勤労者に『改革開放への幻想を持ってはならない』との指示を下した。金正恩氏が構想する『われわれ(北朝鮮)式経済発展』は絶対に(中国式の)改革開放ではないということが強調されていた」

短い指示文には「改革開放という言葉を使った者は本国に召喚後、厳罰に処す」との警告が添えられていたが、「われわれ式経済発展」がいかなるものかについての言及はなかった。

「本国に召喚」は、強制帰国後に厳しい検閲(監査、取り調べ)を受けることを意味する。それだけでもかなりの心理的負担になるが、結果次第では、山奥の極貧農場に追放され、表舞台への復帰や出国が一生できなくなる可能性もあり、かなりの脅し文句だ。

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平安北道(ピョンアンブクト)の内部情報筋も、同様の指示があったことを認めた。

「今月1日、一部の幹部と知識人が改革開放の幻想から抜け出せずにいるという内容の幹部講演があった。今後、改革開放を目指す者たちを厳罰に処すという内容もあった」

講演会の講師は改革開放について「わが国のシステムを内部から崩壊させるための帝国主義者の悪辣な誘惑」と定義した。同じようなことが、一般労働者向けの講演会でも語られていたという。

しかし、講演会では金正恩氏の経済発展構想がいかなるものかについて「一体どのような構想をしているのか、誰も説明できなかった」として、具体的な話がなかったことに情報筋は不満を述べた。

今回の警告は、南北対話や米朝対話を受けて国内に充満する「浮かれムード」を引き締め、「早とちりするな」というメッセージが伝える意図があると思われる。北朝鮮当局は従来から「改革開放」という言葉に敏感な反応を示す一方で、経済官僚をシンガポールに派遣してMBAを取得させるなど、相反する姿勢を示している。