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北朝鮮の市場経済を草の根から支えているのは、市場の商人たちだ。現実とかけ離れた小遣い銭ほどの給料しかもらえない国営企業、機関に便宜上籍を起きつつも、ほとんどの収入は市場での商売で得るのが北朝鮮国民の一般的な暮らしだ。

商人たちは、朝鮮半島の緊張緩和、制裁解除を見越して新しい「アイテム」探しに夢中になっている。その様子を、平安南道(ピョンアンナムド)のデイリーNK内部情報筋が伝えてきた。

市場では、来月に予定されている米朝首脳会談の後に、ビジネス環境がよくなり、うまくいけば韓国や中国との経済協力が実現するだろうと、皆が喜びながらこんな話を交わしている。

「もう国が滅びることはないようだ」

「経済封鎖で苦しい思いをしてきたが、北南対話(南北首脳会談)、(金正恩党委員長の)中国訪問で道がひらけた」

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「早く合弁(協力)が行われて、お互いにとっていい商売をする日が来ればいいのに」

同時に話されているのは、儲かる新しいアイテムの話だ。情報筋は2つの話を紹介した。

(1)咸鏡北道(ハムギョンブクト)で密輸で生計を立てているAさんは、中国の貿易業者からもらったジレット・フュージョンを夫に使わせたところ「もう他のカミソリは使えない」と言っていたのを聞いて、この製品を仕入れて市場で売っている。情勢が良くなればさらに手広く商売するという思いで胸を膨らませている。

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(2)平安南道(ピョンアンナムド)の平城(ピョンソン)に住むBさんは、食品加工工場を立ち上げようとしている。製麺機、豆挽き機、トウモロコシの粒をコメのように加工する機械や、工場の敷地を物色中だ。タクシー運転手の夫が稼いだカネに加え、と、カネ持ちの脱北者家族と共同で運営するつもりだ。

朝鮮半島の緊張緩和に加え、当局が商売に対する統制を緩めていることも、市場に活気を与えている。

当局は、国内に漂う浮かれムードの引き締め策として、当局が考える社会主義にそぐわない「非社会主義現象」に対する取り締まりを強化していた。「商人が息をするだけでも取り締まられる」と言ってもいいほど、取り締まりのターゲットが広範囲で、市場の景気に深刻な影響を与えていた。

(参考記事:「いい加減にしないと暴動起こす」北朝鮮国民の不満が爆発寸前

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ところが、最近になって取り締まりが緩くなったことで、全国有数の卸売市場、平城市場の客足も戻りつつある。商売を取り締まる側だったはずの人々も、新たな商売を始めようとしている。

「北南対話の後から労働党や行政機関が個人のビジネスを積極的に奨励するようになった。保安署(警察署)などの権力機関も熱心に儲かるアイテム探しを行っている」(情報筋)

情報筋は「今後、市場の活性化にとどまらず、個人の経済活動が活発になって、人民の生活が底上げされるだろうと見ている人がほとんどだ」として、北朝鮮の市場が楽観ムードに包まれていることを伝えた。