北朝鮮の朝鮮中央通信は16日、板門店(パンムンジョム)で同日の開催が予定されていた南北高位級会談を中止すると発表した。11日から始まった米韓合同の航空戦闘訓練「マックス・サンダー」が「板門店宣言に対する露骨な挑戦」であるというのがその理由。
(参考記事:金正恩氏はなぜ、米韓合同軍事演習をかくも恐れるのか)しかし、北朝鮮が同日の高位級会談開催を韓国側に提案したのは前日の午前9時頃とされ、時系列上、同訓練を理由とした中止宣言は理解しにくい。同通信は米朝首脳会談への影響にも言及しており、非核化の要求水準を吊り上げる米国への揺さぶりを狙った可能性がある。
同通信は、「北と南は今回の板門店宣言で、新しい平和の時代が開かれたことを厳かに闡明しながら、朝鮮半島で先鋭な軍事的緊張状態を緩和し、戦争の危険を実質的に解消するために共同で努力していくことで合意し、これを米国も全的に支持した」と指摘。
続けて「南朝鮮当局と米国は歴史的な4・27宣言のインクがまだ乾いていないのに朝鮮に反対する大規模な連合空中訓練を行うことによって、これまでわれわれが見せた平和愛好的な全ての努力と善意に無礼非道な挑発で応え、宣言の履行を望む全同胞と国際社会に大きな憂慮と失望を与えている」と主張した。
さらに、「善意を施すことにも程があり、機会を与えることにも限界がある」とし、高位級会談の中止を宣言。「米国も、南朝鮮当局と共に繰り広げている挑発的な軍事的騒動の局面について考えて、日程に上っている朝米首脳の対面の運命について熟考すべきである」と述べた。