北朝鮮の朝鮮人民軍が4月29日から、軍事境界線付近に駐屯させていた兵力と装備を大規模に後退させていると、北朝鮮国内の複数の消息筋が伝えてきた。同27日の南北首脳会談で発表された板門店宣言では軍事的緊張の緩和がうたわれたが、そのわずか2日後に、北朝鮮側が迅速な対応を見せたことになる。(丹東=カン・ナレ記者)

「もうすぐ統一」国内で情報拡散

2日、咸鏡北道(ハムギョンブクト)の消息筋は「最前線の軍事境界線一帯で服務している兵士たちが、秘密裏に全員撤収した」とし、「後方地域に撤収する兵士たちが周辺の民間人を通じ、家族たちに電話でこうした知らせを伝える過程で、機密が漏れている」と明かした。

これと関連し5月1日、出張で中国を訪れたという北朝鮮のある幹部は、「第2軍団、5軍団、4軍団の前方部隊をすべて海州(ヘジュ)よりも北、軍事境界線から40キロ以上離れた地域に後退させている」と語り、「4月28日に下された朝鮮労働党中央軍事委員会の命令に従った措置だ」と説明した。

この幹部はまた、「軍事境界線の1、2カ所ではなく、全般的な地域で兵力を撤収させており、秘密を維持することができないのが実情」と述べ、「私たち(北朝鮮)が迅速に対応していることをアピールするため、(情報漏えいを)故意に行っている可能性がある」と慎重な分析を示した。

一方で、「まだ軍事境界線の坑道に隠されている海岸砲や長距離砲には撤収命令が下されていない」とし、「坑道に隠した砲は車輪を外し、レールの上に据えてあるため、外部に移動するためには、車輪を再び付ける作業を行わなければならない」と語った。

前出の咸鏡北道の消息筋は今回の動きに対する北朝鮮国内の反応として、「息子を最前線に送った親たちは、その間、心配せずに生きてきたのに、後方地域に部隊が移るという知らせに心配が大きい」と語った。消息筋は続けて「後方で服務する場合、各種の国家建設事業に動員されるため」とその理由を明かした。

前線に配置された将兵は、配給などの面で軍の中でも比較的優遇されている。しかし後方の一般部隊は食糧供給さえ十分に行われず、兵士が栄養失調に陥る例が多くある上に、各種の建設工事は事故の危険性も高い。(参考記事:【再現ルポ】北朝鮮の橋崩落事故、500人死亡の阿鼻叫喚…人民を死に追いやる「鶴の一声」

この消息筋はさらに、「軍事境界線付近の兵力を大規模に後方に移しているという情報が広く伝わったことで、年配の人たちは『いったい何が起きているのか分からない』と心配する反面、若者たちは『もうすぐ統一する』と、とても浮き立った雰囲気だ」と、現地の様子を伝えた。